未熟児の出産割合は?脳性麻痺など障害・後遺症の可能性は?

f4338077ae337abaa28165da65b38525

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

産まれた子が未熟児と判断されたら

以前もお話しましたが、未熟児は医学用語ではありません。そのため、未熟児に明確な定義はありません。

未熟児とは、医学用語ではなく一般的に使われる言葉で、低体重児なども含めて身体機能の発育が未熟のまま娩出された赤ちゃんを言います。

未熟児に定義はある?低体重児や早産児との違いは?

未熟児は、低体重児や早産児に多く見られますが、たとえ出生体重が2,500g以上でも、正期産児でも医師が赤ちゃんを未熟児と判断した場合は、未熟児と判断するだけの理由があるということです。

では、もし出産した赤ちゃんが未熟児だと言われた場合、わたしたちはどのように受け止めれば良いのでしょうか。障害や後遺症などの可能性はどう考えれば良いのでしょうか。

今回は、未熟児と言われる判断基準と未熟児の障害・後遺症などの可能性などについてお話したいと思います。

未熟児医療を必要とする未発達機能

未熟児の明確な定義はありませんが、未熟児としての医療が必要だと判断される未発達機能はいくつかあります。

1.呼吸器の未発達|呼吸障害

赤ちゃんの呼吸器機能が未発達な場合は、未熟性無呼吸による無呼吸発作や呼吸窮迫症候群(こきゅうきゅうはくしょうこうぐん)などを起こす場合があります。

そのため、酸素投与、呼吸補助の肺サーファクタントの投与、人工呼吸器をつけるなどの医療措置によって、呼吸管理と補助が必要になります。

赤ちゃんが息してない!周期性呼吸と無呼吸発作症状の違いと対応

2.哺乳機能の未発達|哺乳障害

赤ちゃんの哺乳機能は、哺乳のための反射が備わっているかどうかを見極めることが大切です。特に、吸啜反射は母乳を吸うために必要な反射で、嚥下反射は飲み込むために必要な反射です。

これらの哺乳反射が赤ちゃんに備わっていない場合は、哺乳機能が発達するまで哺乳を補助してあげる必要があります。

哺乳反射とは?赤ちゃんが乳首を吸っておっぱいを飲める理由

3.臓器の未発達|臓器障害

未熟児は臓器の機能が未発達の場合があります。

たとえば、肝臓が未発達な赤ちゃんは、ビリルビンによって新生児黄疸が出やすく、症状が重い場合はビリルビンが脳の神経細胞を破壊することで、脳性麻痺を起こす可能性もあります。

赤ちゃんが黄色い!新生児黄疸の原因・症状・治療法と後遺症

また、赤ちゃんの食道・胃・腸などの働きが悪いと、消化が悪く、吐き戻しや下痢の原因になることがあります。

4.体温調節機能の未発達

赤ちゃんは体温調節機能が未熟ですが、未熟児は特に体温調節ができないため、すぐに体温が奪われて低体温になってしまいます。

そのため、まずウォーマーによって低体温を解消し、保育器に入れることで、内部の温度、湿度、酸素濃度を調節をしつつ、ウイルスや細菌の感染を防ぐ必要があります。

体温調節機能の役割とは?赤ちゃんの体温管理が必要な理由

未熟児が産まれる割合

未熟児を判断する具体的なデータはありませんが、仮に低出生体重児を未熟児とするならば、厚生労働省の人口動態統計のデータで以下の様に示されています。

厚生労働省の人口動態統計によると、日本における低出生体重児の出産割合は1980年代以降増加し続け、平成21年度の低出生体重児の出産割合は9.6%になります。また、極低出生体重児の割合も、0.8%ながら徐々に増加しています。

7d9fee1edbe652f8233f515ff75f34e5 未熟児に定義はある?低体重児や早産児との違いは?

上記グラフを見る限り、2500g未満の低出生体重児は9.6%、1500g未満の極低出生体重児も0.8%ほどおり、これらの低出生体重児が呼吸器の未発達、哺乳機能の未発達、臓器の未発達、体温調節機能の未発達などを伴っている可能性があります。

未熟児の障害・後遺症リスクの割合

次に、未熟児で産まれたことによる障害や後遺症のリスクについてです。

未熟児の障害や後遺症には、呼吸窮迫症候群、脳障害、未熟児網膜症、壊死性腸炎などがありますが、脳性麻痺は根本から治すことが最も難しいと言われている後遺症の1つです。

日本医療機能評価機構は、出生体重と滞在週数から障害の1つとして脳性麻痺になる割合を以下のように算出しています。

出生体重による脳性麻痺の割合

97088aeb1b60c8ea61e170489f7f7aac

引用|日本医療機能評価機構提出資料|厚生労働省

このグラフは、出生体重100gごとの脳性麻痺の発生件数を1000対で表したものです。年代によってバラツキはありますが、出生体重が少ないほど脳性麻痺に増加傾向が見られます。

-0999g|88.4人(8.84%)
1000g-|35.7人(3.57%)
1100g-|43.5人(4.35%)
1200g-|56.8人(5.68%)
1300g-|62.5人(6.25%)
1400g-|8.9人(0.89%)
1500g-|8.4人(0.84%)
1600g-|12.6人(1.26%)
1700g-|16.1人(1.61%)
1800g-|4.0人(0.4%)
1900g-|0人(0%)
2000g-|2.1人(0.21%)
2100g-|2.9人(0.29%)
2200g-|4.2人(0.42%)
2300g-|0.7人(0.07%)
2400g-|1.8人(0.18%)
2500g-|0.6人(0.06%)

最新の2006-2009年の件数を上記のように並べると、出生体重が1400g未満から脳性麻痺の割合が急に増えていることがわかります。

そのため、日本医療機能評価機構では、低体重児であっても出生体重が1400g以上であれば、脳性麻痺が起こる確率は低くなるとみなしています。

妊娠週数による脳性麻痺の割合

2a530abd680c977b247dc9db009e6248

引用|日本医療機能評価機構提出資料|厚生労働省

このグラフは、出産した妊娠週数ごとの脳性麻痺の発生件数を1000対で表したものです。年代にバラツキはありますが、出産する妊娠週数が早まるほど脳性麻痺に増加傾向が見られます。

妊娠24週未満|156.3人(15.63%)
妊娠24週|122.0人(12.20%)
妊娠25週|142.9人(14.29%)
妊娠26週|96.2人(9.62%)
妊娠27週|51.7人(5.17%)
妊娠28週|71.4人(7.14%)
妊娠29週|69.3人(6.93%)
妊娠30週|35.7人(3.57%)
妊娠31週|13.2人(1.32%)
妊娠32週|4.3人(0.43%)
妊娠33週|3.4人(0.34%)
妊娠34週|3.8人(0.38%)
妊娠35週|3.3人(0.33%)
妊娠36週|2.3人(0.23%)
妊娠37週|1.8人(0.18%)

最新の2006-2009年の件数を上記のように並べると、妊娠32週未満は脳性麻痺の割合が急に増えていることがわかります。

そのため、日本医療機能評価機構では、早産児であっても妊娠32週以降であれば、脳性麻痺が起こる確率は低くなるとみなしています。

未熟児の出産をどう考えれば良いか

単純に未熟児と言っても、低体重で産まれたのか、早産で産まれたのか、またどのような身体機能が未熟なのかは様々であり、それによって障害・後遺症リスクも変わります。

未熟児は、出産直後から身体的に未熟な機能の補助や保護のための未熟児医療が必要になりますが、単純に未熟児だからといって高い確率で脳性麻痺などの障害につながるわけではありません。

上記のデータを見てもわかる通り、平成21年度の低出生体重児の出産割合は全出産の9.6%であり、仮に出生体重2499gの子が1000人いる場合、脳性麻痺になる子はそのうち0.6人です。

もちろん、一定数の赤ちゃんは脳性麻痺を起こしてしまうため、必ずしも大丈夫とは言えませんが、それでも妊婦が出産前から赤ちゃんの疾患や障害に頭を悩めて、ストレスを溜めなければいけないような割合だとは言えません。

出産後の赤ちゃんの健康は誰もが気になりますし、考えれば考えるほど「もしかしたら……。」「万が一……。」と心配になる気持ちはよくわかります。

ただ、出産後の赤ちゃんの健康を過剰に心配することに頭を使うよりは、どうすれば自分自身が健康な妊娠生活を過ごせるのか、健康な食生活や正しい生活習慣を過ごすためにはどうスケジュール立てれば良いかを考えて過ごすようにした方が建設的です。

まずは、長い妊娠期間を乗り越えて、出産にまでこぎつけることが大切です。

そして、もしも、出産後に医師から未熟児だと伝えられた場合は、未熟児医療を理解して、家族といっしょに赤ちゃんの健康をサポートをしながら、障害や後遺症の知識を少しずつ持てるように勉強を始めるようにしましょう。

未熟児養育医療制度も大切なことなので、以下を参考にしてください。

未熟児養育医療給付制度の対象と条件は?必要な申請書など

記事のURLとタイトルをコピー