子どもの偏食が増える原因と嫌いな食べ物がない方が良い理由

この記事の読了時間は約 8 分です。

子どもの好き嫌いはママのお悩み

「うちの子、好き嫌いが多いんですよぉ。どうしたら、子どもの好き嫌いなくせますか?」という園児のママからの相談。子どもの好き嫌いが激しいのは、ママの悩みの1つだと思います。

この質問をされると回答に困ります。子どもが本当に嫌いなものは無理に食べさせないのがわたしの考えだからです。みなさんは子どもの好き嫌いにどう対処しているでしょう。

2011年にカゴメが発表した「子どもの野菜の好き嫌いに関する調査報告書」によると、子どもの好き嫌いを直したい親は全体の77%ほどで、理由の80%が栄養バランスが気になるためだと回答しています。

d7cf1969ec676b2f7aef2f1e5e713873 dbaed49458fed7e10b1df5d4d0485c1e

出典|カゴメ、子どもの野菜の好き嫌いに関する調査を実施|カゴメ株式会社

栄養バランスが気になる|81.5%
食べられないものがあるとかわいそう|37.8%
嫌いな野菜を使わない献立を考えるのが大変|24.8%
世間体が気になる|1.6%
その他|2.3%

なぜ子どもは食べ物の好き嫌いや偏食が多いのでしょうか。また、子どもの好き嫌いはなくしてあげた方が良いのでしょうか。

今回は、子どもに食べ物の好き嫌いがある原因と子どもに好き嫌いがない方が良い理由についてお話したいと思います。

1.遺伝や先天的な味覚が原因の好き嫌い

子どもの好き嫌いがある原因の1つは、遺伝や先天的な味覚が関係していると言います。

遺伝による好き嫌い1.元々の味覚の役割

甘いものが嫌いという子どもはほぼいません。人間は味蕾で、旨味、甘味、塩味、酸味、苦味を感じますが、甘いものは糖分と認識するため積極的に摂取しようとします。

それぞれの味覚は以下のように認識されていますが、酸っぱいものや苦いものを食べて味覚に異常を感じると、脳に信号を出して不快感を誘発し嚥下反射に影響を与えています。

旨味・・・アミノ酸、核酸
甘味・・・糖
塩味・・・ミネラル
酸味・・・腐敗物
苦味・・・毒物

胎児に五感はある?視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の発達時期と順番

そのため、子どもが嫌いな苦味がある野菜、酸味があるトマトなどは、初めのころは食べられなくても仕方がないと思った方が良いでしょう。

ちなみに「辛味」は、味覚ではなくて刺激を感じる痛覚です。

参考|味覚と嚥下(2010/03) | JSDNNM|日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会公式ホームページ

遺伝による好き嫌い2.幼児期の味覚

苦味が強い野菜というとゴーヤ、セロリ、ピーマンなどがありますが、これらの苦味は人によって感じ方が違います。

「ゴーヤは苦くて食べられないけど、ピーマンは食べられるじゃん。」という感覚で、自分はゴーヤを食べないのに子どもにピーマンを食べさせる人もいますが、そもそも大人よりも子どもの方が味覚が敏感です。

味蕾の数は生後3か月までが最も多く12,000個ほどに対して、大人になると徐々に減っていき7,000個ほどになります。味蕾が多いほど味に対して敏感になるため、苦味や酸味、甘味の感じ方も強くなります。

つまり、ゴーヤが苦くて食べられないという感覚を持つ大人と同じように、子どももピーマンが苦くて食べられない可能性があります。

また、味蕾の数が人より多い「Supertaster(スーパーテイスター)」と呼ばれる人が、4人に1人います(女性35%・男性15%)。スーパーテイスターは味を強く感じるため、食べ物の好き嫌いが激しい傾向があるそうです。

参考|好き嫌いは舌が敏感すぎるせい?自分が「超味覚」の持ち主かどうかチェックする方法 – GIGAZINE

遺伝による好き嫌い3.妊娠中の食事

子どもの食べ物の好き嫌いには、親の遺伝や妊娠中の食事が関係する可能性があります。

母親が妊娠中も出産後もニンジンジュースを飲んだ場合、母親が出産後にニンジンジュースを飲んだ場合、妊娠中も出産後もニンジンジュースを飲まなかった場合、それぞれの条件で育てられた赤ちゃんの中で、最もニンジン嫌いが少なかったのが、母親が妊娠中からニンジンジュースを飲んでいた場合であるとの結果が確認されています。

引用|子どもの味覚【前編】食べ物の好き嫌いはどうして起こるのか?|ベネッセ教育情報サイト

嗅覚は味覚に強い影響を与えますが、嗅覚は妊娠20週ごろから徐々に発達し始め、妊娠30週前後になると胎児は羊水に溶け出したママの食事の匂い成分を感じられるようになります。

つまり、子どもはママがよく食べていたものに慣れており、食べていなかったものは食(匂い)の経験が伴わないため、嫌いな食べ物になる可能性があるということです。

胎児に五感はある?視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の発達時期と順番

2.食の経験が原因の好き嫌い

子どもの好き嫌いがある原因の1つは、普段の食事の経験が関係していると言います。

食の経験による好き嫌い1.毎日の食生活

どこの家庭でもそうだと思いますが、ママが食べられないものは食卓に出てきません(^_^;)

子どもは3-4歳で味の好みがある程度決まると言いますが、それは食の経験を通して決まっていきます。つまり、食べ慣れていないものは嫌いになる可能性があるということです。

食の経験による好き嫌い2.周囲の好みの影響

子どもが普段食べる食べ物の中には、家庭の食卓に並ばなくても保育園の給食などで食べるものもあります。

子どもはそれをママに「今日は○○食べたよー。」と報告するのですが、もしそこでママが「あー、ママそれ○○だから嫌いなんだよね。」と言ってしまうと、子どもの記憶にはその食べ物の嫌いな部分が印象として残ります。

食の経験が浅く、まだ味の好みが固まっていない子どものうちに食べ物に悪い印象を与えてしまうと、子どもの好き嫌いに影響を与えてしまう場合があります。

食の経験による好き嫌い3.食べにくさ

子どもは食べにくい食べ物を嫌いになる傾向があります。

たとえば、大きくカットされて食べにくい野菜、食べるまでに手間がかかる魚、固くて噛み切れない肉などは、たとえ味が好みでも食べることを避けてしまいがちです。

3.生活や環境が原因の好き嫌い

子どもの好き嫌いがある原因の1つは、食事以外の生活や環境が関係しています。

環境による好き嫌い1.叱られたトラウマ

子どもが好き嫌いをするのは、悪気があるわけではありません。「せっかくママが作った料理だから。」「栄養価が高い食べ物だから。」という発想もありません。

そのため、ママが「何で食べないの!食べ終わるまで、座ってなさい!」と突然叱っても、子どもはわけがわからずにショックを受けてしまいます。

この叱られたショックと食べ物が結びついてしまい、好き嫌いの原因になってしまいます。

環境による好き嫌い2.味覚嫌悪学習

なるべく多くの良い食の経験をすることは、子どもとって大切なことです。食の経験が少ない子どもは、食と悪い経験が結びついてしまうことで、簡単に好き嫌いができてしまいます。

大人でも、「豚肉が生焼けでお腹を壊した。」「生牡蠣で食中毒になった。」「失恋中に食べたオニオンスープが嫌いになった。」など、食と嫌な経験が結びついて食べ物を嫌いになってしまいます。

子どもの場合は、「魚の小骨が喉にひっかかった。」「にんじんに虫がついていた。」「かぼちゃを食べた後に嘔吐下痢を発症した。」などによって、その食べ物を嫌いになるでしょう。

このように悪い体験と食が結びつくことで嫌いな食べ物ができてしまうことを「後天的な味覚嫌悪学習」と言います。

子どもに好き嫌いがない方が良い理由

このように好き嫌いの原因がわかると、子どもが食べられないから叱るという発想にはならないはずです。では、子どもに嫌いな食べ物があること、好き嫌いが激しいことは克服しなくて良いのでしょうか。

好き嫌いがない方が良い理由1.偏食で健康を害さないため

肉、野菜、魚、豆類など、必要な栄養素を考慮したバランスの良い食事は、子どもの健康的な成長を助けてくれます。

もちろん(過度ではない)偏食でも健康的に育つ子はいますし、偏食のプロスポーツ選手もいます。でも、バランスが取れた食事の方が健康を害さない確率が少しでも高いなら、ママは子どものために好き嫌いをなくしてあげたいと思うはずです。

好き嫌いがない方が良い理由2.食を通じたコミュニケーションのため

食を通じたコミュニケーションをとることはよくあります。これは大人だけの話ではなく、「お友だちの○○ちゃんの家にお呼ばれした。」「お友だちとキャンプでバーベキューをする。」という子ども同士の話もあります。

このような食を通じたコミュニケーションの場では、好き嫌いが多いほどコミュニケーションが取りづらくなります。

そのため、食べられるものを増やしてあげると、食べられないものが多い人よりも食を通じたコミュニケーションの機会が増えます。

好き嫌いがない方が良い理由3.食で一生喜びを感じられるため

毎回ではありませんが、食事をすることで幸せを感じる瞬間は何度もあります。食は一生続くものなので、好きな食べ物が多いほど幸せを感じる回数は増えますよね。

そう考えると、子どもの嫌いな食べ物はなるべくなく減らして、一生でたくさんの幸せを感じてもらいたいと考えます。

子どもの好き嫌いをよく知ることが大切

食べ物の好き嫌いはない方が良いのですが、子どもに無理やり食べさせるわけにはいきません。

そこで、ママは子どもの好き嫌いで悩むよりも、まずは色々な種類、色々な味付けの食べ物を子どもに食べさせて、徹底的に好きな食べ物・嫌いな食べ物、好きな食べ方・嫌いな食べ方をわかってあげると良いでしょう。

それらを理解したうえで、家族で楽しく食卓を囲むために、嫌いな食べ物をどう工夫すれば少しでも食べられるようになるかを考えます。

食べ物の好みは成長とともに変わります。もしかしたら、工夫がきっかけでその食べ物を好きになるかもしれませんし、工夫によって食べられることを子どもが学習するかもしれません。

そのため、ママは子どもに多くの食の経験をさせ、食を通じた幸せな気持ちをたくさん作ることを目標にしましょう。どうしても食べられない食べ物はほとんどの人にあるので、ママは割り切りも必要ですよ(^_^;)

一生懸命ごはんを作るママはイラッとすることはありますし、何だか好き嫌いを許しているようで納得がいかないかもしれませんが、子どもが慣れるまではサポートしてあげてください。

次回は、好き嫌いが激しい子ども、偏食が多い子を変える方法についてお話したいと思います。

食べ物の好き嫌いが多い…子どもの偏食をなくす18の方法

記事のURLとタイトルをコピー