夜尿症とおねしょの違いは?小学生の夜間の尿漏れ原因と治療法

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おねしょと夜尿症は同じもの?

「うちの子まだおねしょ治んないのよぉー。ほんと幼くて嫌になっちゃう。」

園児たちが卒園して小学生になっても、ママから連絡が来ることがあります。子どもの写真を見せてもらい、「わー、○○くん大きくなったねぇ。」なんて話しをするのですが、その際に上記のような相談を受けることがあります。

子どものおねしょは、「夜中に起こされる」「洗濯物がいっぱい」「子どもが泣くor落ち込む」など、ママにとってはなかなか厄介です。

たまになら良いのですが、子どもが連日おねしょをしてしまい、更に雨の日が続くと「寝る布団がない……。」となる場合もありますね……(^_^;)

ただし、小学生が夜間に尿漏れをするのは、実はおねしょではなく「夜尿症」です。そのため、ママが子どもと話をするときには、気を付けた方が良い話題だと思います。

今回は、おねしょと夜尿症の違い、夜尿症の原因や治し方などについてお話したいと思います。

夜尿症(やにょうしょう)とは

夜尿症とは、夜寝ている間におしっこを漏らしてしまう症状のことを言います。

「それっておねしょじゃないの?」そうです、おねしょと夜尿症は、どちらも夜寝ている間に無意識におしっこが漏れてしまうことです。ただし、両者には違いがあります。

よく言われるおねしょと夜尿症の違いは、5歳までの就寝時の尿漏れを「おねしょ」と呼び、6歳以降の就寝時の尿漏れを「夜尿症」と呼ぶことですが、単純に年齢の違いだけで片付けて良いわけではありません。

夜尿症は、抗利尿ホルモンの分泌などおねしょの原因が改善されていないだけでなく、子どもの睡眠リズムの乱れや心理的な原因が影響している可能性があります。

ちなみに、小学校低学年で10%前後、小学校高学年でも5%以上に夜尿症があり、男女別だと男の子の方が夜尿症は多いそうです。

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出典|夜尿症,昼間尿失禁 | 滋賀医科大学 泌尿器科学講座

おねしょと夜尿症の違い

子どもは身体機能の成長に差があります。そのため6歳前後の子どもであれば、おねしょをしても特に心配をする必要はありません。

子どものおねしょの原因は、おしっこを抑制する抗利尿ホルモンが十分に分泌されていなかったり、膀胱が十分に大きくなっていなかったり、蓄尿コントロールができないためだったりします。

これらは全て、ある程度の年齢になることで機能が整っていくものです。

つまり、おねしょと夜尿症は主な原因や症状が同じでも、本来5-6歳までに整う身体の機能が十分ではないため、またはその他の精神的理由が尿漏れにつながっているため、おねしょと区別する必要があるのです。

日本夜尿症学会が出版している夜尿症診療ガイドライン2016では、5歳以降で1か月に1回以上の夜尿が3か月以上続くことを「夜尿症」と定義し、診療対象の疾患として扱っています。

夜尿症とおねしょの違い
・夜尿症は5歳以降で1か月に1回以上の夜尿が3か月以上続くこと
・夜尿症は年齢に伴った機能が未発達な可能性がある
・夜尿症はストレスが原因で起こっている可能性がある

夜尿症が起こる病的な原因

夜尿症が起こる原因は、適年齢での身体機能の未発達や精神的ストレス以外に、以下の病的な原因も含まれます。

参考|夜尿症診療のガイドライン

夜尿症の原因1.夜間多尿による因子

1.先天性腎奇形

先天性腎奇形とは、低形成腎、異形成腎、水腎症などの総称を言い、先天性腎奇形による腎機能障害があると尿の浸透圧が低くなる(低張尿)ため、水分の排泄が多くなってしまいます。

2.尿崩症(にょうほうしょう)

尿崩症とは、抗利尿ホルモン分泌が低下し、腎臓における水分の再吸収が低下することで多尿を起こす症状を言います。

3.糖尿病

糖尿病を患うと、高血糖になるため水分を大量に摂取する傾向があり、結果として夜間の尿漏れにつながる可能性があります。なお、子どもの糖尿病に多い糖尿病は、1型糖尿病です。

「1型糖尿病」は、過去のウイルス感染によって増えたリンパ球が膵臓の機能を阻害して、インスリン分泌が減少する糖尿病です。子どもに起こることが多いため小児糖尿病とも呼ばれます。

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4.神経性多飲症(心因性多飲症)

神経性多飲症とは、ストレスや不安など精神的な問題があるときに大量の水分を摂取で精神が安定する症状を言います。神経性多飲症がみられると、低張多尿となり夜間の尿漏れの原因になります。

夜尿症の原因2.膀胱機能障害による因子

1.下部尿路疾患

尿路感染症など下部尿路疾患の病気によって排尿回数の異常(昼に8回以上)がみられる場合は、夜間の尿漏れの原因になります。

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2.脊髄疾患

2分脊椎、脊髄脂肪腫、Teterdcord症候群などの脊髄疾患があると、慢性の便秘とともに遺尿症がみられることが多く、夜間の尿漏れの原因になります。

夜尿症の原因3.その他の因子

1.尿管異所開口

尿管異所開口とは、通常は膀胱につながっている尿管が、外陰部・膣・子宮など膀胱の正常ではない部位に開口している尿路奇形のことを言い、尿路感染や尿漏れの原因になります。

2.てんかん発作

てんかんを起こすと、発作に伴う尿漏れがみられる場合があります。

3.睡眠時無呼吸症候群

原因は明らかになっていませんが、睡眠時無呼吸症候群を起こすと夜尿症の頻度が高くなるため、関連性があると言われています。

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4.注意欠陥多動障害

ADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもは遺尿や遺糞の頻度が高く、夜間の尿漏れを起こす可能性があります。

夜尿症克服のための改善ポイント

子どもの夜間の尿漏れがあると、ママは「も~またおねしょして!小学生なのに恥ずかしくないの?」と言いたくなるかもしれませんが、疾患が原因の可能性があるため、そのような言い方はしないようにしましょう。

また、「大きくなればおねしょは自然に治るもの。」と放置するママもいますが、もう少し子どもの様子を見てあげてください。

もし以下の原因を改善しても夜間の尿漏れが治らない場合は、疾患が原因の夜尿症かもしれないため、一度病院で診察を受けるようにしましょう。

夜間の尿漏れ改善1.寝る前の水分摂取を控える

おねしょ卒業のときにも話しましたが、基本的に水分は寝る2時間前までに摂り、寝る前にのどが乾いていたら、のどを潤すために1口程度にします。

また、夜に水分摂取が多くならないように、夕食は塩分控えめで夕食後にお菓子はあげないようにしましょう。

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夜間の尿漏れ改善2.夜更かしをしない

夜更かしをするとホルモンバランスが崩れてしまい、正常な抗利尿ホルモンが分泌されなくなるため、夜間の尿漏れを起こす場合があります。

また、おねしょ対策として夜中に子どもを起こしてトイレに行かせることもホルモンバランスを崩し、抗利尿ホルモンの分泌を阻害する原因になります。

夜間の尿漏れ改善3.身体が冷やさない

お風呂に早めに入る家庭では、その後の子どもの身体の冷えが夜尿症につながる場合があります。

室温は人によって感じ方が違うため、子どもの手足の先が冷えていないかを確認してください。ママなら身体の冷えが良くないことはわかるはずです。

夜間の尿漏れ改善4.ストレスを解消する

子どもは大人が思っているよりもずっと繊細です。また、経験が少ないため自分自身でストレスを解消する方法を知りません。

・ママとパパがケンカをしていた
・ママに大きな声で叱られた
・赤ちゃんができてかまってもらえなくなった
・保育園でお友だちとケンカをした
・小学生になることに緊張を感じている

など、子どもが感じるストレスをあげるとキリがありません。夜間の尿漏れを改善するために、子どもがストレスを受けているか見極め、ストレスを和らげることも親の役目です。

夜尿症の対処療法・治療方法

上記の「夜間の尿漏れ改善」を行なったにもかかわらず、やっぱり子どもの尿漏れが続く場合は、夜尿症の恐れがあるため病院で診察を受けましょう。

特に10歳を過ぎても身体機能やストレスの問題で夜尿症を起こす子には、以下の対処療法や治療方法が考えられます。

夜尿症の治療法1.生活習慣の指導・行動療法

子どもの夜尿症が生活習慣に起因すると考えられる場合は、定期的な生活習慣の指導が行われます。また、医師指導で排尿日記、膀胱訓練、アラーム法などの行動療法が行われることがあります。

夜尿症の治療法2.漢方薬の処方

子どもが慢性的に冷え症、喉の渇きなどを訴える場合は、症状に合った漢方薬が処方される場合があります。

夜尿症の治療法3.抗利尿ホルモン薬の投与

抗利尿ホルモンの分泌量が少ない場合は、抗利尿ホルモンを促進する抗利尿ホルモン薬の投与が必要な場合があります。

夜尿症の治療法4.膀胱の収縮抑制剤の投与

就寝中の膀胱の収縮が大きい場合は、抗コリン剤などの膀胱収縮抑制剤を投与して、蓄尿量を多くする治療を行う場合があります。

夜尿症の治療法5.カウンセリング

仮にママが「何か心配なことある?」と聞いて、子どもが「ないよ。」と答えたとしても、子どもは心の中でストレスを抱えていることがあります。

ストレスが原因で夜尿症が続くようであれば、子ども向けカウンセリングを受けるよう医師から促されることもあります。

夜尿症の治療法6.内臓疾患や神経障害の治療

肝機能障害・腎臓の機能不全などの内臓疾患や神経障害が原因で、夜尿症が起こっている場合は、それぞれの疾患の治療によって、夜尿症の改善に導く必要があります。

小学生の夜尿症は病気も疑おう

小学生以上のおねしょ(夜尿症)は病気が原因の可能性があります。そのため、ママは子どものおねしょ(夜尿症)を恥ずかしいもの、自分でなんとかできるものだと考えないでください。

子どものおねしょ(夜尿症)に対して、怒るのはもちろん厳禁ですが、冗談っぽく笑うこともやめた方が良いですね。

子どもはおねしょ(夜尿症)が恥ずかしいことだと刷り込まれている可能性があります。もしその子がおねしょ(夜尿症)でショックを受け、ストレスを感じると、夜尿症が悪化してしまうかもしれません。

ママが「この子のおねしょいつまで続くのかな……。」と焦る気持ちは分かりますし、夜の睡眠時間が削られたり、朝の忙しい時間に洗濯物が増えてイライラする気持ちもわかります。

ただ、子どもを怒ったり、イライラしたり、不安な顔を見せたり、冗談っぽく笑う前にママがまず行うことは、子どもを励まして安心させることです。

そして、生活習慣を改善して、夜尿症が起こりにくい環境を作ることです。それでも夜尿症が続くときは病院に行き、夜間の尿漏れが起こる原因を探ってください。

ちなみに息子は、4歳、6歳のときにおねしょが復活……つまり2度夜尿症になりました。そんなパターンもあるということで。

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参考|日本泌尿器科学会-The Japanese Urological Association (JUA) こんな症状があったら – 『おねしょ』(夜尿症)が治らない – 一般のみなさま向けサイト

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