乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因や確率は?予防法はある?

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子どもの突然死は立ち直れない

2人の子どもたちはわたしたち夫婦の宝です。もし、この子たちがわたしたちの目の前から突然いなくなってしまったら……。考えただけで悲しくてたまらなくなります。

厚生労働省の統計によると新生児の死亡率は1000人中0.9人、世界開発指標によると0歳から6歳未満(6歳の誕生日の前日まで)の幼児の死亡率は1000人中2.7人となっています。

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赤ちゃんや子どもが命を落とす原因はたくさんあります。変な言い方ですが、事故や病気であれば理由がわかるため怒りや悲しみのぶつけどころがある……のかもしれません。

ところが、原因もわからずに突然自分の子が死んでしまったら……。実際に体験しなければ絶対にわかりませんが、わたしは立ち直る自信がありません。

今回は、0歳の元気な赤ちゃんが、何の前兆もなく突然死んでしまう乳幼児突然死症候群(SIDS)についてお話したいと思います。

乳幼児突然死症候群(SIDS)とは

乳幼児突然死症候群(SIDS)とは、元気だった赤ちゃんが眠っている間に突然死んでしまう怖い疾患のことです。

日本において乳幼児突然死症候群(SIDS)は、男女とも0歳の赤ちゃんの死亡原因の第3位であるため、わたしたちが全く関係ない・意識する必要がないものではありません。

ちなみに、平成21年の厚生労働省の統計によると、0歳児の死亡原因は奇形や染色体異常が1位、呼吸障害が2位、そして3位が乳幼児突然死症候群(SIDS)となっています。

0歳児の死亡原因
1.先天奇形、染色体異常|35.1%
2.呼吸障害等|14.1%
3.乳幼児突然死症候群|5.7%
4.不慮の事故|4.9%
5.出血性障害等|3.9%

参考|厚生労働省:死因順位(第5位まで)別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合

乳幼児突然死症候群(SIDS)は、乳児7,000人に1人ほどの確率で起こる病気ですが、病歴、健康状態、死亡時の状況、精密な解剖をしても死亡の原因が特定できず、0歳児の中でも生後1-6か月程の赤ちゃんが多くを占めます。

原因が解明されていないため、明確な予防法もありません。ではわたしたちは、大切な赤ちゃんが乳幼児突然死症候群(SIDS)にかからないことを祈るしかないんでしょうか。

乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防法

乳幼児突然死症候群(SIDS)の明確な原因は現在もわかりませんが、アメリカ小児科学会などの研究により、共通する事項や仮説は徐々に増えています。

主に早産児、低体重児は乳幼児突然死症候群(SIDS)の割合が増えるそうですが、これには対処のしようがありません。

現在の最新情報は、2016年10月にアメリカ小児科学会が、学会誌「American Academy of Pediatrics」で発表した乳幼児突然死症候群(SIDS)予防のための保護者向けの新しいガイドラインです。

2017年1月時点の情報です。

参考|全文表示 | 赤ちゃんの突然死を防ぐには 米学会が推奨する14の注意 : J-CASTヘルスケア

SIDSの予防法1.赤ちゃんのうつぶせ寝をしない

赤ちゃんが1歳になるまでは、うつぶせ寝だけでなく横向き寝も避け、仰向けに寝かせることが推奨されています。

乳幼児突然死症候群(SIDS)と窒息の因果関係は証明されていませんが、自由に頭を動かせない赤ちゃんがうつぶせ寝をすると、呼吸器が塞がれ窒息の危険性は高まります。

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また、赤ちゃんの無呼吸発作のうち「閉塞性無呼吸(へいそくせいむこきゅう)」と「症候性無呼吸(しょうこうせいむこきゅう)」は、乳幼児突然死症候群(SIDS)と関係性があると言われています。

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SIDSの予防法2.ソファやイスでは寝かせない

仰向け寝同様、赤ちゃんは、柔らかい布団やマットレスで眠ると窒息死する可能性があります。また、ソファやイス、車の座席で寝かせてしまうと、すき間に顔が挟まって動けなくなり、窒息死する可能性もあります。

その他、窒息死を避けるために、赤ちゃんが寝る場所(頭・顔周辺)には柔らかい枕、掛布団、キルト、ぬいぐるみなどを置かない方が良いでしょう。

SIDSの予防法3.寝返り防止におくるみをしない

赤ちゃんの仰向け寝を避けるために、寝返り防止策として毛布などでつつむ「おくるみ」はやめた方が良いでしょう。「おくるみ」をすると乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが高まるというデータがあります。

SIDSの予防法4.妊娠中と出産後は禁煙する

乳幼児突然死症候群(SIDS)は、妊婦の喫煙、ママの喫煙・受動喫煙によって発症の危険性が高くなります。

母親が妊娠中にタバコを吸っていた場合、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが高くなります。また、赤ちゃんが産まれた後に母親や父親がタバコを吸っていても乳幼児突然死症候群(SIDS)は起きやすくなり、両親ともタバコを吸っている乳幼児では、両親とも吸わない乳幼児に比べて乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクは10倍にまで高まります。

引用|タバコが深く関わる病気「乳幼児突然死症候群」- すぐ禁煙.jp(ファイザー)※リンク切れ

もちろん、赤ちゃんの受動喫煙は乳幼児突然死症候群(SIDS)だけでなく、ぜんそく、気管支炎、肺炎、中耳炎など将来の病気リスクも高めます。

赤ちゃんの周囲で喫煙しないだけでなく、タバコを吸ったらしばらくは赤ちゃんに近づかないようにしてください。

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SIDSの予防法5.妊娠中と出産後は禁酒する

妊娠中と出産後の禁煙同様、出産後もしばらくは禁酒をした方が乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクは減少します。

具体的には生後3-4か月以降、できれば赤ちゃんが生後6か月を過ぎるまでは禁酒し、それ以降も母乳育児に影響がないように飲酒しなければいけません。

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SIDSの予防法6.赤ちゃんに過度に服を着せたり、暖めすぎない

乳幼児突然死症候群(SIDS)を発症した赤ちゃんは、過度の重ね着、暖かすぎる室温、たくさんの毛布や布団で寝ていたという状況が多く見られます。

欧米では服の着せ過ぎが自律神経を不安定にし、呼吸機能障害を起こすことで乳幼児突然死症候群(SIDS)が発症すると言われています。

赤ちゃんの服は大人より1枚少ない程度が良く、特に頭を毛布などで覆わないよう方が良いでしょう。実際に、赤ちゃんの死亡例の多くが頭に何かをかぶった状態で発見されています。

また、赤ちゃんは冬は風邪を引きやすく、夏は熱中症や脱水症状を起こしやすいため、1歳過ぎまでは体温管理に十分に気を付けなければいけません。

赤ちゃんの体温は大人よりも高めで、平熱が37度台の子もいます。そのため、「何だか肌寒い。」「夏なのに今日は冷える。」という大人の感覚で赤ちゃんの体温管理をしないようにしましょう。

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SIDSの予防法7.赤ちゃんのストレスを軽減する

赤ちゃん授乳などの育児行為だけでなく、スキンシップをとり自分の欲求を叶えてくれる存在がいないと大きなストレスを受けます。

これを「愛着障害(あいちゃくしょうがい)」と言い、乳幼児期に虐待を受けたり、ネグレクト(放置)行為を受けることで、心身が不安定なまま成長したり、乳幼児突然死症候群(SIDS)を起こすことがあります。

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スキンシップの例として、ママが赤ちゃんを抱っこすると赤ちゃんは安心感を感じます。これは科学的にも証明されていて、赤ちゃんはママに触れられることで愛情ホルモンの「オキシトシン」を分泌します。

オキシトシンは赤ちゃんの血圧を下げ、ストレスを軽減します。また、鎮痛効果が増したり、集中力を高める効果もあります。

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SIDSの予防法8.なるべく母乳で育てる

母乳育児の方が、ミルクで育つ赤ちゃんよりも乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症率が低くなるという統計があります。

母乳には免疫力を高める免疫グロブリンA(IgA)という成分が含まれているだけでなく、母乳育児そのものがママとのスキンシップになり、ストレスを軽減してくれます。

ちなみに免疫グロブリンA(IgA)とは、細菌やウイルスが鼻、眼、肺、消化管や呼吸器など粘膜で覆われた部分からの進入を防ぐ抗体のことで、赤ちゃんが生まれてから生後5日前後までの間に授乳する初乳に多く含まれています。

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もちろん、粉ミルクに赤ちゃんの害になる成分が入っているわけではありません。

また、いくら母乳が赤ちゃんの免疫力を高めてくれても、ママが普段の食生活に気をつけていなければ、母乳の飲みが悪くなるなど、赤ちゃんの健康に影響をおよぼす可能性があることも覚えておきましょう。

SIDSの予防法9.アロマなど匂いが強い環境を作らない

普段の生活環境の中に匂いを取り入れている人はいますね。また、赤ちゃんの鼻づまりを解消するために、アロマを使いたい人もいるでしょう。

ところが、赤ちゃんは同じ匂いの刺激を嗅ぎ続けると嗅覚の発達の妨げになったり、場合によっては乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因になる場合があると言われています。

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SIDSの予防法10.赤ちゃんが小さいうちの添い寝は控える

アメリカでは、同じ布団(ベッド)で赤ちゃんといっしょに寝ると乳幼児突然死症候群(SIDS)の確率が上がると言います。理由としては、肥満など大柄な欧米人が赤ちゃんに添い寝をすると、潰される確率が高くなるためだそうです。

また、日本に比べるとアルコールを飲む人も多いため、酔っ払って冷静な判断ができないときに、赤ちゃんが潰されてしまう可能性があるとのこと……。

赤ちゃんが潰される割合はわかりませんが、たしかに肥満体型の人の方が赤ちゃんを潰すリスクは高いでしょうし、アルコールを飲んでいる人の方が注意力が散漫になるでしょう。

SIDSの予防法11.1歳までは同じ部屋で寝る

生後6か月、できれば1歳までは親と同じ部屋で寝た方が乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防につながるとされています。

根拠は赤ちゃんに万が一のことがあっても助けられることだそうで、赤ちゃんと親が同じ部屋で寝ると乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが50%減るというデータがあります。

ただし、前述した通り、赤ちゃんが小さいうちは親と同じベッドで添い寝はせず、ベビーベッドやマットレスなどに寝かせるようにしましょう。

SIDSの予防法12.寝かしつけ時におしゃぶりを与える

乳幼児突然死症候群(SIDS)のために、寝かしつける時はおしゃぶりを与えると良いそうです。

根拠は不明ですが、おしゃぶりをすると乳幼児突然死症候群(SIDS)の防止に効果があるという統計データがあります。ただし、赤ちゃんが寝ついたら、おしゃぶりはそっとはずしてあげましょう。

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SIDSの予防法13.妊婦健診を受ける

こちらも根拠は不明ですが、妊娠中に定期的な妊婦健診きちんと受けると乳幼児突然死症候群(SIDS)が少なくなるそうです。日本では、妊娠時期に14回の妊婦健診を受けることが推奨されています。

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SIDSの予防法14.定期予防接種は必ず受ける

麻疹風疹混合ワクチン、BCG、四種混合ワクチン、日本脳炎ワクチン、水ぼうそう、小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンなどの推奨されている定期予防接種は全て受けてください。

これらの定期予防接種も、赤ちゃんの定期疾患を避け、乳幼児突然死症候群(SIDS)を予防するための大切な行為です。

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SIDSの予防法15.安全な睡眠習慣をつける

乳幼児突然死症候群(SIDS)予防のための保護者向けの新しいガイドラインには、「乳幼児突然死症候群(SIDS)を予防するためには、何よりも安全な睡眠習慣」をつけることが大切だとされています。

一方、乳幼児突然死症候群(SIDS)予防と宣伝されているマットレスなど市販製品を過信しないようにとも記載されています。これは、その製品がダメだという話ではなく、乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因に科学的な根拠がないためだそうです。

乳幼児突然死症候群(SIDS)の完全予防は難しい

乳幼児突然死症候群(SIDS)は原因が明確ではないため、紹介した予防法に取り組んだとしても、どれだけ直接的な予防効果につながるかわかりません。

現在も研究の途中であるため、ママは常に最新の情報を取得して、乳幼児突然死症候群(SIDS)に備えるようにしましょう。

直接的な予防効果につながらないかもしれないとは言え、「うつぶせ寝をやめる」「喫煙しない」「暖めすぎない」「アロマなど匂いが強い環境を作らない」「定期予防接種を受ける」などの行為は、乳幼児突然死症候群(SIDS)に関係なく、赤ちゃんが健康に育つために必要な考え方ばかりです。

ちなみにベビーブームの時は、うつぶせ寝を推奨する医師や専門家もいたようです(まぁ、そういう本があるくらいなので)。

そのため、ママがうつぶせ寝をさせたくないと思っていても、昔ながらの考え方のお姑さんと意見がぶつかることもあるかもしれません。

今の育児と昔の育児では常識が異なります。わざわざ激しく反論する必要はありませんが、子どもの命を守るのは親の役目だと自覚して、子どもに関わるように努めましょう。

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