産休で出産手当金はいくらもらえる?申請方法・支給日・金額計算など

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産休期間の生活はどうする?

これまでバリバリ働いていた女性が妊娠した場合、出産をするために仕事を休まなければいけません。

そんな働く女性のために国が法律で定めているのが産休制度です。産休は、出産予定日を挟んで、産前休業と産後休業にわかれています。

産前休業とは、妊婦が出産前の準備のために取得する6週間の休暇(出産予定日を含む)のことで、産後休業とは、出産後の妊婦の体調回復のために取得する8週間の休暇(出産日の翌日から)のことです。

産休と育休の取得条件の違いは?休暇中の給料・手当はどうなる?

ところで、いくら産休で仕事を休めたとしても、一般的な産休期間は3か月以上(14週間)あるため、金銭的な蓄えがなければ生活できません。シングルマザーであればなおさらです。

そんな産休期間の生活保障として、「出産手当金」という手当金の支給制度があります。

今回は、出産手当金の申請方法や支給額の計算方法、支給日などについてお話したいと思います。

すべて2017年5月時点で変更を加えた情報になります。

出産手当金(しゅっさんてあてきん)とは

出産手当金とは、健康保険の被保険者(会社員や公務員等)が産休を取得し、その間会社から賃金の支払いを受けられない場合に協会けんぽなどから支給される手当金のことを言います。

産休の対象は出産をする女性のため、出産手当金の対象も現在働いている健康保険の被保険者の女性になります。

出産手当金の支給条件

出産手当金の支給は、以下の条件を満たした場合に、産休期間(日数)に応じて受け取ることができます。

出産手当金の支給条件
1.社会保険(健康保険)に加入している人
2.出産のために会社に産休申請し、産休中に賃金が支払われていない人
3.夫の扶養に入っていない人

契約社員・パート・アルバイトも、健康保険に加入していれば出産手当金の受給対象です。ただし、夫の扶養に入っている場合(年収130万円未満)は、出産手当金の支給対象外になります。

以前は、「退職後6か月以内に出産した人」「健康保険を任意継続している人」も支給対象でしたが、現在は支給対象外になっています。

出産手当金の計算式と計算方法

出産手当金がいくらになるか支給額を簡単に計算してみましょう。出産手当金は、以下の式で計算できます。

出産手当金=(産前休業42日+出産日調整日数+産後休業56日)×標準報酬日額×2/3

簡単に言うと、産休日数×日給の3分の2なのですが、「出産日調整日数」と「標準報酬日額」が引っかかりますね。

なお、双子以上の出産は産前休業が98日になります。また、産後休業の取得は義務ですが、本人の意思と医師の承諾があれば、8週間を6週間に短縮することも可能です。

出産日調整日数とは

産休申請は”出産予定日”を基本に取得しますが、実際の出産日がズレることはよくあります。赤ちゃんが出産予定日通りに産まれる確率は5-6%程しかないため、以下の日数調整が必要です。

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たとえば上図の様に、出産日が出産予定日より3日間遅れた場合は、遅れた3日間が産前休業の42日に加算されます。その結果、産前休業は45日になります。

産前休業日数が増えても、産後休業の日数が変わることはありません。この場合の産前産後休業日数は、最大で45日+56日=101日になります。

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逆に、出産日が出産予定日より3日間早まった場合は、早まった3日間が産前休業の42日から減産されます。その結果、産前休業が39日になります。

産前休業日数が減っても、産後休業の日数が変わることはありません。この場合の産前産後休業日数は、最大で39日+56日=95日になります。

産休と育休の取得条件の違いは?休暇中の給料・手当はどうなる?

つまり、産前休業の正式な期間は、出産後まで決まらないということです。そして、正式に決まった産前休業日数に応じて、出産手当金が支給されます。産後休業は出産後から始まるので日数は変わりません。

標準報酬日額の算出方法

標準報酬日額とは、「標準報酬月額」を30日で割って10円未満を四捨五入した金額です。標準報酬月額とは、月収をベースに社会保険料の支払額を決める以下の階層のことです。

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参考|平成28年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表|全国健康保険協会

出産手当金を計算するには、過去12カ月の標準報酬月額を平均した金額で求めるのですが、

「12か月の平均なんてわからない……。」
「今の会社に12か月もいないんだけど……。」
「途中で月給がかなり変わったんだけど……。」

という人もいるでしょう。そのため、細かく出産手当金を計算したい場合は、それぞれの標準報酬月額を求めてから、計算しましょう。

標準報酬日額の計算1

12か月の標準報酬月額がわからない、または12か月の月収がほぼ変わらない人は、産休に入る前月の給与明細を見て「健康保険料」の金額を確認します。

仮に、健康保険料が9,960円だった場合、健康保険の保険料額表を見ると標準報酬月額は200,000円です。

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介護保険第2号被保険者は40歳以上65歳未満の方

200,000円の標準報酬月額を30日で割って、1円未満を四捨五入します。

200,000円÷30日≒6,670円

すると、標準報酬日額が6,670円のため、1日の出産手当金は以下の金額になります。こちらも1円未満を四捨五入します。

6,670円×2/3=4,450円

標準報酬日額の計算2

途中で月給が変わった人、または12か月以内で転職をしている人は、12か月分の標準報酬月額を調べて、平均額を算出しなければいけません。

手元にある給料明細や前職の会社に確認して、各月の健康保険料から12か月分の標準報酬月額を調べてください。計算自体は、上記と同様です。

標準報酬日額の計算3

転職を含めて12か月の保険料支払い実績がない人、または転職の際に1か月以上の期間が開いた人は、以下のどちらかの少ない方の額で計算します。

1.支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
2.28万円(当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額の平均)

わかりにくいですね……。1の場合、仮に標準報酬月額の平均額が40万円だったとしても、少ない方で計算するため28万円で計算しなければいけません。

ちなみに、標準報酬月額28万円の1日の出産手当金は、6,220円です。

280,000円÷30日×2/3=6,220円

出産手当金の計算事例と支給日の目安

標準報酬日額がわかれば、後の計算方法はとても簡単です。

出産手当金の計算例1)平均標準報酬月額20万円で出産予定日通り赤ちゃんを出産した場合

・標準報酬日額は6,670円
・標準報酬日額の2/3は4,450円
・産前休業42日+産後休業56日

4,450円×98日=436,100円

出産手当金の支給額は436,100円になります。

出産手当金の計算例2)平均標準報酬月額40万円で出産予定日より10日早く双子を出産した場合

・標準報酬日額は13,670円
・標準報酬日額の2/3は9,110円
・(産前休業98日-10日)+産後休業56日

9,110円×144日=1,311,840円

出産手当金の支給額は1,311,840円になります。

出産手当金の支給日の目安

出産手当金の支給申請は自分でも行えますが、産休終了後に会社に支給申請書を提出して、会社に出産手当金の支給申請を代行してもらうことが多いでしょう。

産休前に会社に「健康保険出産手当金支給申請書」を用意してもらい、産休終了後に会社に提出します。会社は、健康保険(協会けんぽ)に出産手当金の支給申請手続きを行い、後日指定口座に振り込まれるという流れです。

記入ミスなどがなければ、会社が支給申請した後、2週間から1か月前後で出産手当金が口座に振り込まれます。もちろん、会社の支給申請が遅れれば、支給日も遅くなります。

出産手当金の支給申請方法

出産手当金を受け取るためには、事前の申請手続きが必要です。以下に必要な書類と簡単な流れを説明します。

出産手当金の支給申請手続きに必要な書類

・健康保険出産手当金支給申請書
・添付書類

健康保険出産手当金支給申請書とは、出産手当金の支給申請に必要な書類のことです。被保険者、医師、会社それぞれ記載する箇所があるため、注意が必要です。

添付書類とは、出産手当金の申請期間の初日の属する月までの過去12か月間に「勤務先が変わった場合」「被保険者証の番号が変更した場合」「退職した場合(任意継続被保険者になった場合)」に必要事項を記載して提出する書類のことです。

出産手当金申請までの流れ

1.産休の取得希望を会社に伝えます。

2.会社から「健康保険出産手当金支給申請書」をもらい、必要事項を記載します。

3.医師に「健康保険出産手当金支給申請書」の病院証明欄に記載をしてもらいます。

4.出産後に「健康保険出産手当金支給申請書」を会社に郵送します。

5.産休後に会社が健康保険に出産手当金の申請を行います。

6.申請後2週間-1か月ほどで出産手当金が口座に振り込まれます。

出産手当金の支給申請は出産後57日以降、つまり会社は産休明けでなければ、出産手当金の支給申請を行えません

出産手当金の支給申請と会社に対する産休申請は別物です。会社に対する産休申請は、以下の通り会社の指示に従ってください。

会社への産休・育休申請の期限は?いつ妊娠を報告すべき?

勘違いしやすい出産手当金の受給資格

働いている女性が妊娠して産休を取得すれば、出産手当金は必ずもらえるものだと勘違いしている人がいます。

妊娠・出産に関してもらえる手当などには、以下のものがあります。

妊娠・出産の関する手当金
・出産手当金|産休取得期間に応じた手当金
・出産育児一時金|1人の出産につき支給される補助金
・育児休業給付金|育休取得期間に応じた手当金

出産手当金は、妊婦が夫などの扶養家族であれば受給資格がありません。また、国民健康保険には出産手当金の制度がないため、国民健康保険の加入者も出産手当金の受給資格がありません。

国民健康保険(国保)と健康保険(健保)は別物です。医療保険制度の違いは以下を参考にしてください。

被保険者・扶養者とは?国保と健保の違いは?育児に必要な医療保険制度

出産手当金は、一般的には130万円以上の収入がある女性が対象になることが多いため、受給資格がある人は意外と少ないかもしれません。

出産手当金に関する注意点

注意点1.出産手当金の支給申請期限は?

出産手当金の支給申請期限は、産休開始の翌日から2年間です。その期間内であれば、いつでも出産手当金の支給申請ができます。

もし、出産手当金の申請を忘れていたり、出産時に制度を知らずに申請していなかったりした場合は、現在勤めている会社の窓口や協会けんぽに相談して申請手続きを行ってください。

注意点2.産休中に退職した場合

以前は、退職後6か月以内に出産した場合も、健康保険を任意継続していれば出産手当金をもらえましたが、現在はその規定がなくなりました。

もし、被保険者の退職日までに継続して1年以上勤務(被保険者期間が1年以上)していた場合は、出産手当金を受け取ることができます。

その際、出産日(または出産予定日)から起算して42日以内に退職していなければいけません。つまり、書類上は産休後の退職でなければいけないということです。

出産手当金はややこしい…

出産手当金は、働く女性にとってはありがたい制度ですが、ややこしいですね。一般的には、以下の内容を認識できれば良いと思います。

・会社で働いており、社会保険に加入している女性が対象
・産休日数に応じて日給の約2/3を健康保険が支給してくれる
・出産手当金の申請は、一般的には会社が本人の代わりに行ってくれる
・申請書類は産休前に受け取り、出産後に必要事項を記載して会社に郵送する
・会社は出産手当金の申請書類を産休明けに健康保険に申請してくれる
・申請後1-2か月程度で、銀行口座に出産手当金が振り込まれる

ちなみに、育休期間に応じて支給される育児休業給付金の申請や計算方法は、以下を参考にしてください。育児休業給付金は出産手当金と似ていますが、条件や計算方法が違います。

これで完璧!育児休業給付金の申請方法・条件と支給日、金額計算例

また、妊婦が出産費用としてもらえる出産育児一時金は、以下を参考にしてください。こちらは一律42万円の支給で、出産後の退院時に出産費用と相殺できるため理解しやすいでしょう。

出産育児一時金で42万円!国保と社保の違いは?差額の扱いは?


参考|出産で会社を休んだとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
参考|出産手当金について | よくあるご質問 | 全国健康保険協会
参考|社会保険業務ご担当者の方へ|協会けんぽ

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