死産と流産の明確な違い・定義は?死産届の手続きと必要書類

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死産と流産の違い

日本の法律では妊娠が中絶した際に、胎児が「死産」であれば「死産届(しざんとどけ)」を市区町村役所などの公的機関に提出しなければいけません。

これは戸籍法によって定められていることで、死産届を提出しなければ「火葬許可証」が発行されないため、死産した子の遺体を火葬で弔ってあげることができません。

通常、人が亡くなった場合も同じで、医師から「死亡診断書」を受け取り、「死亡届」に必要事項を記入して、死亡届と死亡診断書を市区町村役所に提出することで火葬許可証が発行されます。

では、ここで言う死産とは一体どのような状態を言うのでしょうか。また、よく勘違いされる死産と流産の違いは何でしょうか。

実は、厚生労働省と日本産科婦人科学会(JSOG)では「死産」と「流産」の定義が異なっています。

今回は、死産と流産の違い、死産届にの手続きや必要な書類などについてお話したいと思います。

※中絶とは意図的に子どもを堕ろすことではなく以下の意味です。

わたしたちが普段「中絶」と呼んでいるのは人工妊娠中絶のことです。反対に自然妊娠中絶とは、胎児がお腹の中で自然に死んでしまい流産、または死産してしまうことを言います。

つまり、中絶とは自然にしろ人工的にしろ、妊娠が出産に至らずに「胎児の死」によって途中で終わってしまうことを言います。

日本の年間中絶数は?自然妊娠中絶と人工妊娠中絶の違い

日本産科婦人科学会の死産と流産の定義と違い

日本産科婦人科学会では、妊娠22週未満(妊娠21週6日以内)の胎児が娩出(べんしゅつ)されることを「流産」と定義しています。

さらに、流産の中でも妊娠12週未満の流産を「前期流産」と呼び、妊娠12週-妊娠22週未満の流産を「後期流産」と呼びます。

前期流産・後期流産の原因や時期は?状態による流産の6つの種類

また、妊娠22週以降の死児の出産を「死産(子宮内胎児死亡|IUFD)」と定義しています。死児とは、出産後においても心臓拍動、随意筋の運動および呼吸のいずれ認められないものを言います(厚生労働省の定義)。

日本産科婦人科学会が妊娠22週未満までを流産、それ以降を死産と区別する理由は、妊娠22週以降の胎児であれば、何らかの理由によって胎児が母体から出されても、未熟児医療で生存できる可能性があるためです。

つまり、死産は人として死を迎えたという意味で、妊娠22週が1つの区切りに設定されているのです。

厚生労働省の死産と流産の定義と違い

厚生労働省では、「人口動態調査」において「流産」という項目がありません。

つまり、厚生労働省は流産の定義をしていないことになります。一方、「死産」の項目はあり、妊娠12週以降(妊娠12週0日から)の死児の出産を「死産」と定義しています。

冒頭でお話した死産届は戸籍法に基づく死産に伴うため、妊娠12週以降の死児の出産を行った際に提出しなければいけない書類ということになります。

わたしたちは厚生労働省がまとめた統計を目にすることが多いのですが、その統計を見てもやはり流産の具体的な数値は出てきません。

ただし、以下の様な数値が調査されている中、周産期死亡において妊娠22週以降の死産の数は取得されており、これが流産と死産の違いを複雑にする要素の1つだとも考えられます。

・新生児死亡(生後28日未満の死亡)
・早期新生児死亡(生後7日未満の死亡)
・周産期死亡(妊娠満22週以後の死産+早期新生児死亡)
・乳児死亡(生後1年未満の乳児の死亡)

上記死亡の意味と数の推移は以下を参考にしてください。

新生児死亡・周産期死亡・乳幼児死亡の定義や違いと死亡率の推移

死産届の提出期限と提出先

妊娠12週以降の死児の出産(流産、人工中絶含む)を行った場合は戸籍法上で言う死産となり、その日から7日以内に以下の場所へ「死産届」を提出しなければいけません。

1.届出人(親・同居人、医師・助産師など)の住民票がある市区町村役所の窓口(戸籍課など)
2.死産をした病院などがある市区町村役所の窓口(戸籍課など)

もし7日目が市区町村役所の休日にあたる場合は、休日の次の日が提出期限になります。また、提出期限を過ぎると「理由書」が必要になり、5万円以下の罰金(過料)が科される場合があります。

日数は違いますが、提出期限に対する遅延の考え方は出生届と同様だと考えてください。

赤ちゃんの出生届とは?提出期限はいつまで?遅れたら罰金?

すでに胎児認知をしている場合は、上記の他に出生届義務者(父親または母親)が認知の届出先(認知によって住所が変わる場所)にも14日以内に死産届を出さなければいけません。

ちなみに、死産の場合、出生届は提出できないため戸籍には何も記載されず、記録は残りません。

死産届の提出に必要な書類・費用など

市区町村役所に死産届を提出する際は、以下の書類などが必要になります。忘れずに確認してください。

死産届に必要な物
・死産届(死産証書と一体の用紙)
・死胎火葬許可申請書
・届出人の印鑑
・身分証明書

世帯主がわからなければ、市区町村役所で住民票を取得して確認してください。印鑑はシャチハタはNGです。身分証明書とは、届出人の免許証や保険証などのことです。

死胎火葬許可申請書には火葬場の記入欄がありますが、これは申請前に火葬場に連絡をして決めなければいけません。火葬場の手配は、葬儀代行会社に任せるか役所経由で行ないます。

市区町村役所に死産届を提出すると火葬許可証をもらえるため、火葬場がよくわからなければ、事前に市区町村役所に問い合わせておくと良いでしょう。

必要書類一式を揃えて死産届を提出すると、その場で内容確認があり埋葬(火葬)の許可審査が行われます。そのため、夜間や休日に提出した場合はもう一度市区町村役所に出向く必要があります。

また、届出人は死産届記入者ではなく代理人でも構いませんが、届出人以外は書類訂正ができません。死産届の書き方は、以下を参考にしてください。

死産届の書き方・記入例と死産証書(死胎検案書)の扱い方

火葬費用は自分で地方自治体を通して行うか、葬儀代行会社を使うかで変わります。

地方自治体経由の場合は、火葬費用で2000-3000円ほど、棺や骨壷などで2-3万円、後は供養をお願いするかどうかで変わります。

また、葬儀代行会社を使うと、上記に加えて役所の手続き、火葬の手配などをお任せして4-10万円ほどです(会社により異なります)。

死産届の提出が出産育児一時金対象になる

死産届を提出しなければいけない人は、死産が妊娠週数が12週(12週0日)以降のため、出産育児一時金の対象になります。

出産育児一時金とは、赤ちゃんを出産する際に1人につき42万円(40.4万円)が健保・国保などから支給される制度のことです。出産育児一時金は以下の条件に合致してれば受給できます。

・妊婦が社会保険、または国民健康保険などに加入していること
・妊娠12週0日(85日)を過ぎて出産していること

出産育児一時金で42万円!国保と社保の違いは?差額の扱いは?

もちろん、妊娠の結果が死産であっても、条件を満たしていれば出産育児一時金を受け取ることは正当な権利だと思います。

ところが、ごく一部の心ない人の中には、出産育児一時金目当てで妊娠12週0日以降に人工中絶を行おうとするようです。出産育児一時金の受給目的でそのようなことをする人は心情的に許せません。

出産後すぐに赤ちゃんが死亡した場合

もし、死産をしてしまった場合の死産届の意味や扱い方、提出方法は理解できたのではないかと思います。

では、なんとか出産できたにもかかわらず、すぐに赤ちゃんが死亡した場合はどうなるでしょうか。

一度産まれた赤ちゃんは、たとえ出産が原因で直後に死んでしまっても死産にはなりません。「産まれたけれど、すぐに死亡してしまった。」ということで、出生届の提出が必要になります。

そのため、もし赤ちゃんが出産後すぐに死亡してしまった場合は、死産届ではなく「出生届」と「死亡届」を一緒に市区町村役所の窓口に提出することになります。

もちろん、この場合は一度産まれた赤ちゃんは戸籍に記載されますし、もし今後同姓の2人目の子を出産した場合は次男(次女)が誕生したことになります。

死産と流産の心情的な区別

死産と流産の定義の違いは赤ちゃんの身体上、または法律による便宜的な処理の必要性上は区別の必要がありまが、ママの心情的にも区別があるものでしょうか。

わたしは死産は経験していないためわかりませんが、もしかしたら、死産を経験したママの中には「流産よりも死産の方が悲しい。」と考える人がいるかもしれません。

ただ、悲しい感情は人それぞれが感じるものなので、死産と流産のどちらが悲しいかという序列を付けることは難しいことですね。

流産した胎児が明確な人の形になっていない場合でも、人間的な機能が揃っていない場合でも、順調に成長して元気に産まれていれば、今ごろいっしょにご飯を食べたり、いっしょにお散歩していたのかもしれない……。

そう考えるとやっぱり流産も同じように悲しいことですし、心情的な差はつけられないものだと改めて感じます。

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