赤ちゃんが手を握り返す理由は?動画で見る原始反射の種類

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この記事でお伝えしたいこと

赤ちゃんに備わっている原始反射とは

ある日、赤ちゃんが起きているところに遭遇したパパは、赤ちゃんの小さな手に自分の指を置きます。すると、ギュッと赤ちゃんが握り返してきました。

「おぉぉーー、◯◯が握り返してきた!可愛いいなぁぁ。パパの指わかってるのかな!」
「はいはい、興奮しすぎ。あと、赤ちゃんが指を握ってくるのは反射だから。」

というわけでパパが興奮する気持ちはわかりますが、赤ちゃんは意識して指を握り返していません。もちろん、パパの指だとわかるわけでもありません。これは赤ちゃんに備わっている反射行動です。

わたしたちは反射と聞くと、ベルの音でよだれを垂らすパブロフの犬の「条件反射」をイメージしますが、産まれたばかりの赤ちゃんに備わっている反射は、条件によって起こる反射ではありません。

赤ちゃんが生まれたとき(胎児も)から備わっていて、生きるために必要な反射を「原始反射」と言います。原始反射にはいくつか種類があります。

今回は、赤ちゃんに備わっている原始反射の意味や種類についてお話したいと思います。

赤ちゃんに原始反射がある理由

原始反射とは、ある刺激に対して中枢神経系を経由して起こる反射行動のことで、その多くは赤ちゃんがママのお腹の中にいるときから備わっています。

梅干しを見るとよだれが出るのは、経験によって起こる反射なので「条件反射」ですが、熱いものを触ったときに熱いと感じる前にすぐに手を引っ込めるのは、経験とは関係がないため「無条件反射」と言います。

原始反射は赤ちゃんの成長時期によって起こる反応が違いますが、反射が起こるということは、まだ未発達な赤ちゃんの成長や生命維持を反射によって助けているということです。

そのため、もし赤ちゃんが適切な時期に適切な原始反射が起こらなければ、何らかの障害を抱えている可能性もあります。つまり、原始反射は赤ちゃんの成長を確認する上でも重要な反応と言えます。

ちなみに、意識して手足を動かすなどは反射ではなく脳で判断して行う行動です。そのため、正常に脳(前頭葉)が発達すると、原始反射の多くは徐々に消失してしまいます。

では、赤ちゃんに備わっている原始反射の種類を見ていきましょう。

原始反射の種類1.非対称性緊張性頸反射(ひたいしょうせいきんちょうせいけいはんしゃ)

非対称性緊張性頸反射とは、仰向けに寝ている赤ちゃんの顔を横に向けると、横に向けた方の手足が伸び、逆の手足は曲がるという反射行動のことです。

赤ちゃんが顔を向けて物を見たときに、手足を伸ばして触ろうという行動を助けるために起こります。

非対称性緊張性頸反射の消失時期は、生後4か月ごろです。

原始反射の種類2.対称性緊張性頸反射(たいしょうせいきんちょうせいけいはんしゃ)

対称性緊張性頸反射とは、赤ちゃんをうつ伏せに持ち上げたときに、赤ちゃんの顎を下げると腕を曲げて足を伸ばし、顎が上がると腕が伸びて足を曲げる反射行動のことです。ランダウ反射(ランドウ反射)とも呼ばれます。

これは赤ちゃんが四つん這いになるために必要な反射で、視界を広げるために赤ちゃんが頭を上げると腕が伸び足が曲がって四つん這いの形になるため、ハイハイの準備を助けてくれます。

対称性緊張性頸反射の消失時期は、生後12か月ごろです。

原始反射の種類3.緊張性迷路反射(きんちょうせいめいろはんしゃ)

緊張性迷路反射とは、赤ちゃんをうつぶせにすると手足を曲げ(前方緊張性迷路反射)、仰向けにすると手足が伸びて背中を反らせる(後方緊張性迷路反射)反射行動のことです。

緊張性迷路反射は、仰向けとうつ伏せを繰り返すことで身体のバランス感覚を養うために起こります。

前方緊張性迷路反射の消失時期は生後3-6か月、後方緊張性迷路反射の消失時期は3歳前後です。

前方緊張性迷路反射が残る子は、うつぶせ寝でよく眠る傾向があると言われています。うつぶせ寝をする子は、手足を曲げて小さくなって眠りますよね。

原始反射の種類4.モロー反射

モロー反射とは、赤ちゃんが物音や温度変化など何らかの衝撃にびっくりしたとき、または不安を感じたときに、パッと両手を大きく伸ばして何かに抱きつこうとする反射行動のことです。

これは昔人間が木の上で生活をしていたときに、木から落ちそうになってしがみつく防衛本能の動きが残っていると考えられています。

モロー反射の消失時期は、生後4か月ごろです。

以下のように「抱っこで眠った赤ちゃんを布団に置いたらびっくりして起きちゃった……。」これも憎きモロー反射です。

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原始反射の種類5.歩行反射(原始歩行)

歩行反射とは、産まれたばかりの赤ちゃんを両足で立たせようとすると、右……左……右……左……と足を交互に出して歩くように足を動かす反射行動のことです。

もちろん、この歩行反射は赤ちゃんが歩くための足の動きや必要な機能を発達させる助けとして起こります。

歩行反射(原始歩行)の消失時期は、生後6か月ごろです。

原始反射の種類6.定位反射(ていいはんしゃ)

定位反射とは、新生児の足の甲やすねを机の端など段差があるところにこすると、膝を曲げてまたいで机に足をつこうとする反射行動のことです。

定位反射は、踏み出し反射、台またぎ反射、定位反応とも言い、転びそうなときなどに足を踏み出して、おっとっとという防衛反応のために起こります。

定位反射の消失時期は、生後6か月ごろです。

原始反射の種類7.把握反射(しょうはあくはんしゃ)

把握反射には、「手掌把握反射(しゅしょうはあくはんしゃ)」と「足底把握反射(そくていはあくはんしゃ)」があります。

手掌把握反射は、手に触れたものをつかもうとして指を握り込む反射行動のことで、足底把握反射も同じように足の裏に何かが触れたときに足の指をギュッと握り込む反射行動のことです。

冒頭でパパの指を握り返したのも、この手掌把握反射が起こったからです。赤ちゃんが握る力は身体の割に強く、両手で棒にぶら下がることも可能です。

この反射は物を掴むことを助けるために起こりますが、木の上の生活で枝を掴む記憶が残っているものと言われます。足も同様ですね。

手掌把握反射の消失時期は生後4-5か月、足底把握反射の消失時期は生後10か月ごろです。

原始反射の種類8.引き起こし反射

引き起こし反射とは、赤ちゃんが仰向けで寝ているときに両腕を持ってゆっくり身体を起こすと、自分から肘を曲げようとする反射行動のことです。

肘が曲がるため、身体を丸めて持ち上げようとしますが首がすわっていなければ頭がついてくるわけではありません。

引き起こし反射の消失時期は、生後1か月ごろです。

生後2-3か月を過ぎてくると首がすわってきます。その場合は両腕を持って身体を起こすと、頭もしっかりと起こしてついてきますが、これは引き起こし反射ではありません。

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原始反射の種類9.口唇探索反射(こうしんたんさくはんしゃ)

口唇探索反射とは、赤ちゃんの口の周りに指などが触れると、触れた方に顔を向けて口を開く反射行動のことです。

誰も教えなくても、赤ちゃんがおっぱいを口に含むことができるのは口唇探索反射があるためです。

口唇探索反射の消失時期は、生後6か月ごろです。

原始反射の種類10.補足反射(ほそくはんしゃ)

補足反射とは、口唇探索反射でおっぱいの方に顔を向けて口を開いたら、おっぱいを口に含み口唇と舌で乳首を捉えるための反射行動のことです。口唇追いかけ反射とも言います。

補足反射の消失時期は、生後6か月ごろです。

以下は保健師さんがあげている動画で、口唇探索反射と補足反射を確認できます。

原始反射の種類11.吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)

吸啜反射とは、赤ちゃんの口の中に物を入れると規則的にちゅーちゅーと吸引する反射行動のことです。

吸啜反射の消失時期は、生後6か月ごろです。

授乳で痛い思いをするママはたくさんいますね。ママは「もうちょっと優しく飲んでよ……。」と思いますが、力強く乳首を吸う反射があるため、赤ちゃんは十分に母乳を飲んで成長することができます。

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原始反射の種類12.嚥下反射(えんげはんしゃ)

嚥下反射とは、母乳やミルクなど口に入った液体(個体)を飲み込み、喉から食道まで運ぶ反射行動のことです。

歳をとって痴呆症になった老人は脳が衰えるため、食べ物を飲み込めなくなると言います。生後間もない赤ちゃんは、自分の意思で母乳を飲み込むことはできませんが、嚥下反射が起こることで母乳を飲み込むことができます。

嚥下反射の消失時期は、生後6か月ごろです。

原始反射の種類13.舌突出反射(ぜつとっしゅつはんしゃ)

舌突出反射とは、口の中に入ったものをうまく吸うために、舌を動かして吸引を補助するための反射行動のことです。

口唇探索反射、補足反射、吸啜反射、嚥下反射、舌突出反射は赤ちゃんが母乳を飲むために必要な反射ばかりです。原始反射がなければ赤ちゃんは生きられないということがよくわかりますね。

舌突出反射の消失時期は、生後6か月ごろです。

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原始反射の種類14.押し出し反射

押し出し反射とは、赤ちゃんの口の中に固形物含む異物が入って舌に触れたときに、舌でその物を押し出そうとする反射行動のことです。

赤ちゃんは、食べ物を咀嚼したり、嚥下する力が未熟であるため、押し出し反射によって誤飲のリスクを予防しています。押し出し反射は哺乳瓶では起こらず、授乳に影響を及ぼさないことが分かっています。

押し出し反射の消失時期は、生後5-6か月ごろです。

原始反射の種類15.パラシュート反射

赤ちゃんをうつぶせの状態で抱き上げ、頭を下にしながら徐々に下ろしていくと、手を出して身体を支えようとする反射行動のことです。

この反射は自分の身を守る防衛のための反射で、生後8-9か月ごろから反射が出始め、生きている限り消えることはありません。わたしたちも転びそうなときに無意識に手が出ますよね。

原始反射の種類16.潜水反射(せんすいはんしゃ)

潜水反射とは、赤ちゃんを水の中に入れると、自然に息を止めて泳いだり潜ったりしようとする反射行動のことです。

この潜水反射があるため、水中出産やベビースイミングなどを行うことが推奨される場合もありますが、一方、赤ちゃんは意識して呼吸を止めているわけではないため、大量に水を飲んで溺れてしまう危険性もあります。

潜水反射の消失時期は、生後4-6か月ごろです。

原始反射の種類17.バビンスキー反射

バビンスキー反射とは、指など(先の細いもの)でかかとから爪先に向かって足の裏をなぞることで、足の親指が足の甲の方にゆっくり曲がり、他の4本の指は扇状に開くという反射行動のことです。

バビンスキー反射は、2歳未満の赤ちゃんに見られる反応で、成長とともに神経系が発達することで消失してしまいます。

2歳になってもバビンスキー反射が現れる場合は、運動神経のひとつである錐体路(すいたいろ)の障害を疑う必要があります。

原始反射の種類18.ギャラン反射(背反反射)

ギャラン反射とは、赤ちゃんの背骨の脇をなでたときにぴょこんと揺れる反射行動のことです。背骨の右側をなでると右に、左側をなでると左にびょこんと動くとても可愛い反応をします。

ギャラン反射は胎児のころから備わっており、胎児が子宮内でギャラン反射を起こすことで、身体のバランス感覚に必要な筋力や組織を発達させています。

ギャラン反射の消失時期は、生後4-6か月ごろです。生後6か月以降もギャラン反射が残る場合は、何らかの発達障害を疑う必要があります。

原始反射の種類19.バブキン反射

バブキン反射とは、赤ちゃんの両方の手の平を押すことで様々な反応をする反射行動のことです。

反射の種類として、口を開ける、頭を前に突き出す、頭を回転させるなどの動きをします。

バブキン反射の消失時期は、生後1週間ごろです。バブキン反射が起こらない場合は、脳性麻痺や発達障害を疑う必要があります。

原始反射の種類20.手掌頤反射(しゅしょうおとがいはんしゃ)

手掌頤反射とは、親指のつけねのふくらみを刺激するとオトガイ筋が収縮する反射行動のことです。オトガイ筋とは、以下の赤い部分の筋肉のことです。

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引用|Mentalis frontal – オトガイ筋 – Wikipedia

手掌頤反射は、1歳から2歳にかけて40%が消失し、以後徐々に減って9-14歳までに完全に消失します。

成人は前頭葉の働きによってオトガイ筋の収縮が抑制されていますが、前頭葉に障害が生じ筋収縮が抑制されないとオトガイ筋の収縮が見られます。

9-14歳以降でオトガイ筋の収縮が見られる場合は、脳内病変を疑う必要があります。手掌頤反射の誘発方法と判定は以下を参考にしてください。

報告者 方法 反射陽性の定義
Little and Masatti 綿棒で母指球をしっかりとこする 2回以上オトガイ筋が収縮
Jacobs and Gossman 母指球を鍵で勢いよくひとこすり 同側のオトガイ筋が収縮
Marti-Vilalta and Graus 別の時間に2人の験者が母指球を示指の爪でこする オトガイ筋の強い/弱い収縮
Otomo 母指球を鍵でこする オトガイ筋が5回連続で収縮する

引用|手掌おとがい反射とは – goo Wikipedia (ウィキペディア)

原始反射の種類21.ホッピング反射(ホッピング反応)

ホッピング反射とは、赤ちゃんの体を前後左右に倒そうとしたときに、重心が崩れることで倒れないように足を踏み出す反射行動のことです。

二足での立ち姿勢が崩れた際に反射的に平衡を保とうとする行動であるため、つかまり立ちや伝い歩きができていれば、ホッピング反射が発現しているということになります。

ホッピング反射は生後10か月前後から現れますが、発現が見られない場合は、神経発達や脳発達に遅れがあると考えられます。

人が生きるために重要な反射

原始反射とは違い、成長してから起こる反射や死ぬまでなくならない反射もあります。

その他の重要な反射1.嘔吐反射(おうとはんしゃ)

嘔吐反射とは、口の中の喉近くに異物が入ると異物を排除するために嘔吐する反射行動のことです。産まれたばかりの赤ちゃんにとっては、固形物は異物です。

その他の重要な反射2.咳反射(せきはんしゃ)

咳反射とは、気管・気道内に刺激があった場合に、肺の空気を流出させて異物を排除する反射行動のことです。大人でも何かが入ったら咳きこみます。

これらの反射はまだまだたくさんありますね。またいつかお伝えしたいと思います。

赤ちゃんの原始反射が見れたら喜んで!

冒頭で触れた通り、成長時期に合わせて原始反射が見られること、または消失時期に原始反射が見られなくなることは、赤ちゃんが順調に育っているという証拠です。

パパは手掌把握反射を理解してして、「なんだ……パパってわかったんじゃなかったんだ……。」とがっかりするかもしれませんが、赤ちゃんが生後10か月を過ぎてパパの手を握り返して来たら、それは赤ちゃんの意志によるものなので大いに喜んでください。

それ以前は、個人差は多少ありますが単なる原始反射です。

原始反射は生後4-6か月以降に消えていくものばかりです。育児に慣れないママはバタバタして心身ともに忙しいと思いますが、原始反射を見てまずは喜び、それがなくなっていく様子を見て赤ちゃんの成長を感じてください。

何気ない赤ちゃんの成長の過程で小さな発見することで、より「この子をがんばって育てていこう!」という気力に変えることができると思います。

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