動画で見る赤ちゃんの原始反射・姿勢反射の種類!役割と消失時期

原始反射の種類

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赤ちゃんに備わっている原始反射とは

身体を自由に動かすことができない赤ちゃんには、生きるために必要な多くの反射が備わっています。

わたしたちは反射と聞くと、ベルの音でよだれを垂らすパブロフの犬の「条件反射」をイメージします。条件反射とは、経験に基づく条件が起こった場合に自然に身体に起きる反応のことです。

たとえば、梅干しを見るとよだれが出るのは、経験によって起こる反射なので「条件反射」ですが、熱いものを触ったときに熱いと感じる前にすぐに手を引っ込めるのは、経験とは関係がないため「無条件反射」と言い、赤ちゃん特有の無条件反射のことを「原始反射(primitive reflexes)」と言います。

原始反射とは、ある刺激に対して中枢神経系を経由して起こる反射行動のことで、その多くは赤ちゃんがママのお腹の中にいるときから備わっており、一定時期をすぎると消失します。

赤ちゃんの成長時期によって起こる姿勢反射は違いますが、反射が起こるということは、まだ未発達な赤ちゃんの成長や生命維持を反射によって助けているためです。

そのため、もし赤ちゃんに適切な適切な原始反射が起こらなければ、何らかの障害を抱えている可能性もあります。つまり、原始反射は赤ちゃんの成長を確認する上でも重要な反応と言えます。

今回は、赤ちゃんに備わっている原始反射の意味や種類についてお話したいと思います。

原始反射(げんしはんしゃ)の種類

1.モロー反射

モロー反射(moro reflex)とは、赤ちゃんが物音や温度変化など何らかの衝撃にびっくりしたとき、または不安を感じたときに、パッと両手を大きく伸ばして何かに抱きつこうとする反射行動のことです。「抱きつき反射」「驚愕反応」とも言います。

これは昔人間が木の上で生活をしていたときに、木から落ちそうになってしがみつく防衛本能の動きが残っていると考えられています。

モロー反射の消失時期は、生後4か月ごろです。

以下のように「抱っこで眠った赤ちゃんを布団に置いたらびっくりして起きちゃった……。」これも憎きモロー反射です。

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2.歩行反射(ほこうはんしゃ)

歩行反射(walking automatic reflex)とは、産まれたばかりの赤ちゃんを両足で立たせようとすると、右……左……右……左……と足を交互に出して歩くように足を動かす反射行動のことです。「脚踏み反射」「原始歩行」とも言います。

もちろん、この歩行反射は赤ちゃんが歩くための足の動きや必要な機能を発達させる助けとして起こります。

歩行反射(原始歩行)の消失時期は、生後5-6か月ごろです。

3.定位反射(ていいはんしゃ)

定位反射(foot placement reflex)とは、新生児の足の甲やすねを机の端など段差があるところに擦ると、膝を曲げてまたいで机に足をつこうとする反射行動のことです。

定位反射は「踏み出し反射」「台またぎ反射」「台乗せ反射」「定位反応」とも言い、転びそうなときなどに足を踏み出して、おっとっとという防衛反応のために起こります。

定位反射の消失時期は、生後5-6か月ごろです。

4.把握反射(はあくはんしゃ)

把握反射には、「手掌把握反射(しゅしょうはあくはんしゃ/palmar grasp reflex/hand grasp reflex)」と「足底把握反射(そくていはあくはんしゃ/射 plantar grasp reflex)」があります。

手掌把握反射は、手に触れたものをつかもうとして指を握り込む反射行動のことで、足底把握反射も同じように足の裏に何かが触れたときに足の指をギュッと握り込む反射行動のことです。

この反射は物を掴むことを助けるために起こりますが、木の上の生活で枝を掴む記憶が残っているものと言われます。足も同様ですね。

手掌把握反射の消失時期は生後4-6か月、足底把握反射の消失時期は生後9-10か月ごろです。

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5.バビンスキー反射(足底反射)

バビンスキー反射(Babinski reflex)とは、指など先の細いもので、かかとから爪先に向かって足の裏をなぞることで、足の親指が足の甲の方にゆっくり曲がり、他の4本の指は扇状に開くという反射行動のことです。

バビンスキー反射は、2歳未満の赤ちゃんに見られる反応で、成長とともに神経系が発達することで消失します(消失時期は12-24か月)。

2歳以降になってもバビンスキー反射が現れる場合は、運動神経のひとつである錐体路(すいたいろ)の障害を疑う必要があります。

6.潜水反射(せんすいはんしゃ)

潜水反射とは、赤ちゃんを水の中に入れると、自然に息を止めて泳いだり潜ったりしようとする反射行動のことです。

この潜水反射があるため、水中出産やベビースイミングなどを行うことが推奨される場合もありますが、一方、赤ちゃんは意識して呼吸を止めているわけではないため、大量に水を飲んで溺れてしまう危険性もあります。

潜水反射の消失時期は、生後4-6か月ごろです。

7.ギャラン反射(背反反射)

ギャラン反射(galant response/galant reflex)とは、赤ちゃんの背骨の脇をなでたときにぴょこんと揺れる反射行動のことです。背骨の右側をなでると右に、左側をなでると左にびょこんと動くとても可愛い反応をします。「側彎反射」とも言います。

ギャラン反射は胎児のころから備わっており、胎児が子宮内でギャラン反射を起こすことで、身体のバランス感覚に必要な筋力や組織を発達させています。

ギャラン反射の消失時期は、生後2-3か月ごろです。

8.バブキン反射

バブキン反射(Babkin’s reflex)とは、赤ちゃんの両方の手の平を押すことでさまざまな反応をする反射行動のことです。

反射の種類として、口を開ける、頭を前に突き出す、頭を回転させるなどの動きをします。

バブキン反射の消失時期は、生後1週間ごろです。バブキン反射が起こらない場合は、脳性麻痺や発達障害を疑う必要があります。

9.手掌頤反射(しゅしょうおとがいはんしゃ)

手掌頤反射(palmomental reflex)とは、親指のつけねのふくらみを刺激するとオトガイ筋が収縮する反射行動のことです。オトガイ筋とは、以下の赤い部分の筋肉のことです。

オトガイ筋

出典|Mentalis frontal – オトガイ筋 – Wikipedia

手掌頤反射は、1歳から2歳にかけて40%が消失し、以後徐々に減って9-14歳までに完全に消失します。

成人は前頭葉の働きによってオトガイ筋の収縮が抑制されていますが、前頭葉に障害が生じ筋収縮が抑制されないとオトガイ筋の収縮が見られます。

9-14歳以降でオトガイ筋の収縮が見られる場合は、脳内病変を疑う必要があります。手掌頤反射の誘発方法と判定は以下を参考にしてください。

報告者 方法 反射陽性の定義
Little and Masatti 綿棒で母指球をしっかりとこする 2回以上オトガイ筋が収縮
Jacobs and Gossman 母指球を鍵で勢いよくひとこすり 同側のオトガイ筋が収縮
Marti-Vilalta and Graus 別の時間に2人の験者が母指球を示指の爪でこする オトガイ筋の強い/弱い収縮
Otomo 母指球を鍵でこする オトガイ筋が5回連続で収縮する

参考|手掌おとがい反射とは – goo Wikipedia (ウィキペディア)

哺乳反射(ほにゅうはんしゃ)の種類

原始反射の中でも、赤ちゃんが母乳を飲むために必要な反射を「哺乳反射」と呼びます。ただし、嚥下反射(えんげはんしゃ)は哺乳反射の1つですが、原始反射ではありません。

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1.口唇探索反射(こうしんたんさくはんしゃ)

口唇探索反射(rooting reflex)とは、赤ちゃんの口の周りに指などが触れると、触れた方に顔を向けて口を開く反射行動のことです。

誰も教えなくても、赤ちゃんがおっぱいを口に含むことができるのは口唇探索反射があるためです。口唇探索反射の消失時期は、生後5-6か月ごろです。

2.補足反射(ほそくはんしゃ)

補足反射とは、口唇探索反射でおっぱいの方に顔を向けて口を開いたら、おっぱいを口に含み口唇と舌で乳首を捉えるための反射行動のことです。「口唇追いかけ反射」とも言います。

補足反射の消失時期は、生後6か月ごろです。以下は保健師さんがあげている動画で、口唇探索反射と補足反射を確認できます。

3.吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)

吸啜反射(sucking reflex)とは、赤ちゃんの口の中に物を入れると規則的にちゅーちゅーと吸引する反射行動のことです。

吸啜反射の消失時期は、生後5-6か月ごろです。

授乳で痛い思いをするママはたくさんいますね。ママは「もうちょっと優しく飲んでよ……。」と思いますが、力強く乳首を吸う反射があるため、赤ちゃんは十分に母乳を飲んで成長することができます。

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4.舌挺出反射(ぜつていしゅつはんしゃ)

舌挺出反射とは、赤ちゃんの口の中に固形物含む異物が入って舌に触れたときに、舌でその物を押し出そうとする反射行動のことです。「押し出し反射」「舌突出反射」とも言います。

赤ちゃんは、食べ物を咀嚼したり、嚥下する力が未熟であるため、押し出し反射によって誤飲のリスクを予防しています。舌挺出反射は哺乳瓶では起こらず、授乳に影響を及ぼさないことが分かっています。

舌挺出反射の消失時期は、生後5-6か月ごろです。この舌挺出反射の消失が、赤ちゃんが離乳食を始めるサインの1つになります。

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姿勢反射(しせいはんしゃ)の種類

姿勢反射とは、高等な脊椎動物が持つ、姿勢や平衡を維持するための反射行動のことです。多くの姿勢反射は、原始反射とは違い生後一定時期が経ってから発現し、生涯消えない反射もあります。

1.非対称性緊張性頸反射(ひたいしょうせいきんちょうせいけいはんしゃ)

非対称性緊張性頸反射(asymmetrical tonic neck reflex)とは、仰向けに寝ている赤ちゃんの顔を横に向けると、横に向けた方の手足が伸び、逆の手足は曲がるという反射行動のことです。

赤ちゃんが顔を向けて物を見たときに、手足を伸ばして触ろうとする行動を助けるために起こります。

非対称性緊張性頸反射の消失時期は、生後4-6か月ごろです。

2.対称性緊張性頸反射(たいしょうせいきんちょうせいけいはんしゃ)

対称性緊張性頸反射(symmetrical tonic neck reflex)とは、赤ちゃんをうつ伏せに持ち上げたときに、赤ちゃんの顎を下げると腕を曲げて足を伸ばし、顎が上がると腕が伸びて足を曲げる反射行動のことです。

これは赤ちゃんが四つん這いになるために必要な反射で、視界を広げるために赤ちゃんが頭を上げると腕が伸び足が曲がって四つん這いの形になるため、ハイハイの準備を助けてくれます。

対称性緊張性頸反射は生後4-6か月ごろに出現し、生後6-12か月ごろに消失します。

3.パラシュート反射

パラシュート反射(parachute reaction)とは、赤ちゃんをうつ伏せの状態で抱き上げ、頭を下にしながら徐々に下ろしていくと、手を出して身体を支えようとする反射行動のことです。「保護伸展反応」とも言います。

この反射は自分の身を守る防衛のための反射で、生後8-9か月ごろから反射が出始め、生きている限り消えることはありません。わたしたち大人も、転びそうなときに無意識に手が出ますよね。

4.緊張性迷路反射(きんちょうせいめいろはんしゃ)

緊張性迷路反射(tonic labyrinthine reflex)とは、赤ちゃんをうつ伏せにすると手足を曲げ(前方緊張性迷路反射)、仰向けにすると手足が伸びて背中を反らせる(後方緊張性迷路反射)反射行動のことです。

仰向けとうつ伏せを繰り返すことで身体のバランス感覚を養うために起こります。

緊張性迷路反射は生後5-6か月ごろに統合され、徐々にその特徴が消失していきますが、完全に消失せずに残る子もいるそうです。

前方緊張性迷路反射が残る子は、うつ伏せ寝でよく眠る傾向があると言われています。うつ伏せ寝をする子は、手足を曲げて小さくなって眠ります。

5.引き起こし反射

引き起こし反射とは、赤ちゃんが仰向けで寝ているときに両腕を持ってゆっくり身体を起こすと、自分から肘など四肢を曲げようとする反射行動のことです。

引き起こし反射には段階があり、わかりやすいものは生後2-3か月を過ぎて首がすわってきたときです。首がすわると、両腕を持って身体を起こしたときに、頭を首と平行に起こしてついてきます。

引き起こし反射の最終的な発現時期は、生後7-8か月ごろです。

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6.立ち直り反射

立ち直り反射(neck righting reaction/body righting reaction)とは、頭部、肩部、体幹、腰部を正しい位置に保って、自動的に正常な姿勢に修正する反射を言います。つまり、身体がねじれていた場合、それをもとに戻そうとする反応のことです。

立ち直り反射は、生後4-6か月ごろに発現し、5歳ごろまで継続します。

7.ホッピング反射

ホッピング反射(hopping reaction)とは、赤ちゃんの体を前後左右に倒そうとしたときに、重心が崩れることで倒れないように足を踏み出す反射行動のことです。「ホッピング反応」とも言います。

二足での立ち姿勢が崩れた際に反射的に平衡を保とうとする行動であるため、つかまり立ちや伝い歩きができていれば、ホッピング反射が発現しているということになります。

ホッピング反射は、生後10か月前後から現れますが、発現が見られない場合は、神経発達や脳発達に遅れがあることが考えられます。


参考|原始反射とは | 一般社団法人ここからだ
参考|姿勢反射一覧|南江堂 リハビリテーション・テキスト

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