男性も産後うつがある?パタニティブルーの原因や症状は?

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男性にも産後うつがある!?

「お金遣い荒くなってない?パチンコや飲みに行ってばっかり!」
「何だか最近怒りっぽいような気がするし……。」
「どこか行って連絡が取れなくなるんだけど……浮気……?」」

もし、赤ちゃんの出産後に旦那さんがこのような状態になったら、当然怒りますよね?

では反対に、ママが怒りっぽくなったり、家事を全くやらなかったり、旦那さんのことがどうでもよくなってしまったらどうでしょうか。

「まぁ、それは産後うつだから仕方ないよ……ね?」と思ったママ、もしかしたら、旦那さんも産後うつで浪費癖が出たり、怒りっぽくなったり、家に帰って来なくなっているのかもしれませんよ?

マタニティブルーという言葉が浸透してパパがママに気を使うことが当たり前になったこと、イクメンという言葉が浸透してパパが育児に参加することが当たり前になったことによって、今度は男性が産後うつになることが増えてきたようです。

これを「パタニティブルー」と言います。

今回は、赤ちゃんが産まれた後の男性に起こるパタニティブルーがどのようなものかお話したいと思います。

パタニティブルーとは

パタニティブルーとは、赤ちゃんの出産直後から発症し、長い場合は生後3-6か月ごろまで続く男性の心身状態の変化、情緒不安定な状態を言います。

パタニティ(paternity)は、以前もお伝えした通り父性という意味で、マタニティの対になる言葉のことです。

パタニティブルーは、イライラする、不安に襲われる、頭痛や吐き気がする、眠れない、食欲がなくなる、何も考えられなくなる、妻や子どものことがどうでも良くなるなど、ママに起こるマタニティブルーとほぼ同じ症状が現れます。

さらに厄介なことに、パタニティブルーは攻撃的になる側面もあるため、ドメスティックバイオレンスや子どもの虐待につながる場合もあるそうです。

そして、パタニティブルーがきっかけで、産後クライシスが起こる可能性もあります。

夫婦の離婚の危機…産後クライシス7つの原因

パタニティブルーは、エール大学の児童精神医学を研究しているカイル・プルーエット教授によって1987年に提唱され、以来、日本では20年ほど前から研究が行なわれています。

昨今の少子化や待機児童問題などから、男性や社会の育児思想の高まりは顕著ですが、女性の3割以上が経験するマタニティブルーに比べると、パタニティブルーの発生メカニズムや防止策は、まだあまり解明されていないと言って良いでしょう。

パタニティブルーの認知度と経験割合

では、実際にパタニティブルーがどれくらい知られているのか、また、どれくらいの男性が経験しているかを見てみます。

2014年12月に男女857名(男性229名、女性628名)を対象にした、「出産にまつわるプレッシャーに関しての意識調査」を実施したフォトカレンダーアプリの「Famm」を運営するTimersによると、以下の結果が出ています。

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出典|マタニティブルーの男性版「パタニティブルー」はなんと約50%の男性が経験!3人に1人のパパは「子供に愛されるか不安、良い父になれないかも」と悩む、と回答。 – 株式会社TIMERSのプレスリリース

・パタニティブルーという言葉を知っていますか?
知らない|79.2%
知っている|15.7%
聞いたことはあるが知らない|5.0%

・あなたはパタニティブルーを経験しましたか?
経験していない|52.9%
あまり意識していなかったが経験したかもしれない|27.6%
それに近いようなことを経験した|12.4%
経験した|7.1%

2014年末の調査であるため、現在とどれほど変化があるかはわかりませんが、パタニティブルーの認知度は約2割ほどで、パタニティブルー(と思われる症状)を経験した男性は5割近くにも及びます。

また、国立成育医療研究センターの調査では、出産後3か月以内に男性の16.7%が産後のうつ傾向が出たという結果を発表しています。

国立成育医療研究センターなどのチームが2012年から2013年にかけて行った調査によると、妻の出産後3ヶ月まで追跡できた夫215人のつい、16.7%に「うつ傾向」が見られたのだ。同センターの竹原健二研究員は、2016年3月5日の日本経済新聞夕刊に「仕事と育児を両立」しようとして、肉体的にも精神的にも許容範囲を超えてしまうことなどが背景にあると考えられる」とコメントしている。

引用|ルポ 父親たちの葛藤 仕事と家庭の両立は夢なのか |おおたとしまさ著

つまり、言葉の認識がないだけで、実際には産後うつの症状に悩まされている男性もかなりいることがわかります。

パタニティブルーの原因

男性に起こるパタニティブルーは、女性に起こるマタニティブルーとは原因が異なります。

マタニティブルーとは、出産後の女性が産後数日から10日程度(長い場合は1か月程度)の間、「プロラクチン」「オキシトシン」などの女性ホルモンの大量分泌によって、ホルモンバランスが崩れることで、情緒不安定な精神状態になることを言います。

また、出産疲れ、授乳による睡眠不足や生活環境の変化、今後の不安など、精神的なストレスが重なることが原因で起こる場合もあります。

プレグナンシーブルー・マタニティブルーと産前・産後うつの違い

ところが、男性は出産するわけではないので、ホルモンバランスが変わることはありません。パタニティブルーが起こる原因は、主に以下のストレスを感じるためだと考えられます。

原因1.生活スタイルの変化

家族に赤ちゃんが加わることで、生活スタイルは大きく変化します。特に生活の全てがチャイルドファーストになるため、それがストレスになることがあります。

原因2.責任感の増大

出産直後は、まだ自分が父親になった実感が湧かないこともありますが、家族を守っていく責任が重くなったことだけは十分にわかるため、それがプレッシャーになってしまいます。

原因3.仕事と育児の両立

夫が育児に参加することが当たり前のように言われ、妻や周りもそのように望んでいると感じる一方、これまで以上に仕事を頑張らなければいけないと考えることで、大きなストレスを感じてしまいます。

原因4.父親の自覚が生まれない不安

赤ちゃんが産まれたにもかかわらず、自分に父親としての自覚や実感がないことに対して、今後父親として振る舞えるかわからない不安を感じてしまいます。

原因5.妻の変化

これまでは夫が1番だった妻が、子どもが1番になってしまい、夫婦の会話や夫婦生活が減ってしまいます。そのため、寂しさやストレスを感じるようになります。

原因6.妻の産後うつ

妻がマタニティブルー、産後うつになることで、夫も影響を受けてパタニティブルーが起こってしまう場合があります。

パタニティブルーの対応方法

一般的に、マタニティブルーは大量に分泌されるホルモンに身体が慣れてきたり、徐々にホルモン分泌量が減っていくことで、精神的な落ち着きを取り戻していくものです。

ところが、パタニティブルーはホルモンが関係ないため自然に治まるということはなく、ストレス原因を取り除いたり、克服することが対処法ということになります。

たしかに、昨今は男性も育児に取り組むことが当たり前になってきた風潮はありますが、家族の生活を支える夫からすると、これまで以上に仕事を頑張りつつ、育児にも参加することをストレスと感じても仕方ありません。

対応方法1.夫婦で今後の話し合い

夫婦で何を1番大切にするのか話し合ってください。生活を切り詰めて夫婦での育児を大切にするのか、育児は妻に任せて仕事を全力で頑張るのかは、それぞれの家庭で異なるはずです。

ただし、夫が今まで以上に仕事をすることで育児負担を妻1人に押し付けないように、周囲の助けや何らかのサービスを活用することも考えましょう。

対応方法2.家族や周囲の助けを得る

単純に仕事が忙しいから、育児が忙しいからだけでストレスが溜まっているとは限りません。

もしかしたら、お互いがパートナーに対して抱えている悩みやストレスのはけ口にならないように気を使うことが、パタニティブルー(やマタニティブルー)を起こしている可能性もあります。

もし、育児や仕事に多少の余裕があったとしても、プラスアルファの緩衝材として家族や周囲に手伝ってもらったり、友人などと談笑ができる環境を作るようにしましょう。

対応方法3.お互いがわかり合う

夫婦で話し合いをすることは当たり前ですが、妻にはマタニティブルー、夫にはパタニティブルーが存在することをお互いが理解しなければいけません。

どちらもイライラしている場合は、それぞれに言い分があるはずです。マタニティブルー、パタニティブルーを前提として、イライラの原因が何かを夫婦で突き詰めていくと、意外と簡単に解決法が見つかるかもしれません。

対応方法4.精神科や心療内科に相談する

男性だから心が強いわけでも、1人で克服できるわけでもありません。そのため、体調の変化や心のもやもやが晴れない場合は、症状が悪化しないうちに精神科や心療内科で相談してみても良いでしょう。

パタニティブルーの認知度を上げることが大切

パタニティを使った最近よく聞く言葉には、パタニティブルーの他にパタニティハラスメントがあります。

パタニティハラスメントとは?男性の育休や時短勤務が妨げられる割合

よく考えると、パタニティハラスメントもパタニティブルーを引き起こす原因になる場合がありますね。

パタニティブルーは、男性だけの問題ではなく、家族の問題でもあります。以前よりもパタニティブルーという言葉を聞く機会が増えたということは、それだけパタニティブルーに悩む男性が増えたということでもあります。

そして、パタニティブルーに悩む男性を救うためには、パタニティブルーが偏見なく、広く認知度が上がることが望まれます。

まずは、パートナーである妻が夫に何か異変がないか確認し、積極的に話し合いをする環境を作ってみてください。


参考|なぜ起こる?パパの産後うつ「パタニティ・ブルー」|news|小学館ファミリーネット
参考|「イクメン」ブームの陰で増える父親の「パタニティブルー」 (1/2) 〈週刊朝日〉|dot.ドット 朝日新聞出版

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