児童養護施設とは?児童の利用者数と入所理由の割合は?

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もし家庭に何かが起こったら

ニュースで見聞きしたり、ドキュメンタリー番組で取り上げられることも多い児童養護施設のことをどれくらい知っているでしょうか。

「わたしには関係ないから……。」とママが言う気持ちもわかります。もし、子どもを愛することができ、家庭環境や家計にも問題がなく、自分が健康に過ごせてる人にとっては、児童養護施設は少し遠い存在かもしれません。

ただ、その環境はいつ変わるかわかりません。

子どもを愛せなくなるという話ではなく、「もし自分が長期入院が必要な病気を患ってしまったら……。」「もし家計の展望が見えなくなったら……。」と考えると、心配の気持ちが出て来るはずです。

もちろん、すぐに児童養護施設に頼る(頼れる)わけではないのですが、1つの可能性として知っておく必要があるのが児童養護施設です。

そこで今回は、児童養護施設がどのようなところなのか、どのような理由で使われ、どれくらいのの利用者がいるのかというお話したいと思います。

児童養護施設とは

児童養護施設とは、児童福祉法に基づいて作られた子どものための宿泊(居住)施設のことで、何らかの要因で親との生活が困難な1歳から18歳までの子どもを養護することを目的としています。

ただし、条件を満たせば、20歳までの在所が可能な施設もあります。

児童養護施設の目的は、保護者のいない児童や社会的な養護が必要な子ども、または保護者の養護が適当ではない子どもに対して、安定した生活環境の中で、生活指導、学習指導、家庭環境の調整などを行い、心身の成長と自立を支援することです。

児童養護施設も乳児院と同様、保育士や児童指導員、看護師資格を持つ職員が中心になり、管理栄養士、医師、心理療法士などと連携をとって、児童たちといっしょに生活をしています。

参考|社会的養護の施設等について|厚生労働省

2014年10月1日の厚生労働省の調査によると、全国には590の児童養護施設があり、33,008人の定員の内27,468人の児童が入所しています。

参考|平成26年社会福祉施設等調査の概況 統計表 第1表 総括表|厚生労働省

児童養護施設の入所理由

平成25年2月の厚生労働省「児童養護施設入所児童等調査結果」によると、児童養護施設に入所している児童29,979人の入所理由とその割合は以下のようになります。

参考|児童養護施設入所児童等調査結果

父の死亡|142人(0.47%)
母の死亡|521人(1.74%)
父の行方不明|141人(0.47%)
母の行方不明|1138人(3.80%)
父母の離婚|872人(2.91%)
両親の未婚|-人(0.00%)
父母の不和|233人(0.78%)
父の拘禁|419人(1.40%)
母の拘禁|1037人(3.46%)
父の入院|180人(0.60%)
母の入院|1124人(3.75%)
家族の疾病の付添人|-人(0.00%)
次子出産|-人(0.00%)
父の就労|963人(3.21%)
母の就労|767人(2.56%)
父の精神疾患等|178人(0.59%)
母の精神疾患等|3519人(11.74%)
父の放任・怠だ|537人(1.79%)
母の放任・怠だ|3878人(12.94%)
父の虐待・酷使|2183人(7.28%)
母の虐待・酷使|3228人(10.77%)
棄児|124人(0.41%)
養育拒否|1427人(4.76%)
破産等の経済的理由|1762人(5.88%)
児童の問題による監護困難人|1130人(3.77%)
その他|3619人(12.07%)
特になし|-人(0.00%)
不詳|857人(2.86%)

入所の理由で割合が大きいものは、「父または母の虐待・酷使」18.0%、「父または母の放任・怠だ」13.8%、「父または母の精神疾患等」12.3%、「破産等の経済的理由」5.9%となっています。

ただし、児童養護施設の入所理由は2つ、3つの要素が重複している場合もあります。乳児院と同じように、経済的理由や精神的理由によって副次的に虐待を受けている子も少なくありません。

同調査では、59.5%が虐待経験ありと回答しており、入所の主な理由以外でも虐待経験を持つ子が多いことがわかります。

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また、一時預かりの理由も乳児院と同様で割合が大きいものは、「父または母の就労」5.8%、「父または母の入院」4.3%となっています。

児童養護施設の年齢別児童数と在所期間

上記と同じく厚生労働省「児童養護施設入所児童等調査結果」によると、児童養護施設に入所している児童29,979人の年齢別児童数、在所期間とその割合は以下のようになります。

年齢別児童数と割合

参考|児童養護施設入所児童等調査結果

0歳|2人(0.01%)
1歳|30人(0.10%)
2歳|366人(1.22%)
3歳|933人(3.11%)
4歳|1,299人(4.34%)
5歳|1,417人(4.73%)
6歳|1,598人(5.33%)
7歳|1,556人(5.19%)
8歳|1,712人(5.72%)
9歳|1,910人(6.38%)
10歳|2,022人(6.75%)
11歳|2,101人(7.01%)
12歳|2,283人(7.62%)
13歳|2,242人(7.48%)
14歳|2,414人(8.06%)
15歳|2,471人(8.25%)
16歳|2,130人(7.11%)
17歳|1,861人(6.21%)
18歳以上|1,607人(5.36%)

2-3歳ごろまでは乳児院に在所している児童も多いため割合は少ないのですが、それ以降の年齢になるとまんべんなく児童養護施設に在所しているようです。

在所期間別児童数と割合

1年未満|4,637人(15.55%)
1年以上2年未満|4,042人(13.55%)
2年以上3年未満|3,415人(11.45%)
3年以上4年未満|2,748人(9.21%)
4年以上5年未満|2,567人(8.61%)
5年以上6年未満|2,166人(7.26%)
6年以上7年未満|1,824人(6.12%)
7年以上8年未満|1,586人(5.32%)
8年以上9年未満|1,469人(4.93%)
9年以上10年未満|1,222人(4.10%)
10年以上11年未満|1,064人(3.57%)
11年以上12年未満|978人(3.28%)
12年以上|2,105人(7.06%)

年齢別児童数と在所期間別児童数を見る限り、少なくとも85%以上の児童は、一時預かりではなく長期間児童養護施設に在所しています。

また、およそ半数の児童が4年以上児童養護施設に在所しており、10年以上の在所児童も14%ほどいることがわかります。

児童養護施設の退所

では、児童養護施設にいる児童たちは、どのように児童養護施設を退所していくのでしょうか。

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同調査では、里親委託は16.3%、別の児童養護施設へは2.9%、自立支援施設へは14.1%、ファミリーホームへは15.4%、援助ホームへは23.7%となっており、これらの合計が約73%です。

つまり、残り27%が家族や親族に引き取られたか、単身生活を始めたということになります。

ちなみに、それぞれの施設は多少の差はありますが、おおむね在所に対して18-20歳未満という年齢制限があり、年齢制限を迎えるか、就職して自活能力が確立されたと認められたときに、晴れて保護措置が解除されることになります。

児童養護施設の入所に関して

何らかの理由で児童養護施設を長期的に利用するためには、どうすれば良いのでしょうか。

児童養護施設に長期入所をするということは、児童相談所の保護措置を受けるということです。つまり、保護措置を受ける時点で(親がいる場合は)親の保護能力がないとみなされます。

そのため、「今は生活が苦しいから、とりあえず子どもを児童養護施設に入れたい。」と簡単に入所できるわけではありません。

乳児院と同じく、まずは地域にある児童相談所で育児の悩みや家計状況、家庭環境を相談をして、児童相談所が保護の必要があるとみなした場合は、児童相談所で一時保護を行います。

さらに、一時保護の間で以下の保護措置を要することが確認された場合は、児童相談所の保護のもとで児童養護施設に入所をすることになります。

「環境上養護を要する」児童の定義
父母と死別した児童
父母に遺棄された児童
家庭環境不良の児童(父母の行方不明、長期入院、拘禁、離婚、再婚、心身障害など)
保護者がいても児童虐待を受けている児童
以上のように、「保護者の健康上・経済上の理由などで監護を受けられない児童、または保護者の元で生活させるのが不適当(家庭環境が悪く、保護者のもとで生活させるのは無理)」な状況にある」と児童相談所が判断した児童。

引用|児童養護施設 – Wikipedia

乳児院と児童養護施設の違い

乳児院と児童養護施設の違いは様々ありますが、最も大きな違いは、入所する子どもの年齢です。

たとえば、乳児院はおおむね2歳未満の子が入所します。もちろん、産まれたばかりの赤ちゃんや幼い子どもが母親と離れて暮らすとことは、大きなストレスになりますし、成長に何らかの影響を及ぼすかもしれません。

乳児院とは?乳幼児の利用者数と入所理由の割合は?

それに対して、児童養護施設は分別が少しずつ付き始める2歳以上の子が入所します。この時期以降の子どもが乳児と違うことは、「なぜ?」を考えることができることです。

親元を離れて暮らすという環境の違いだけでなく、「なぜ自分はママといっしょにいられないのか?」を考えることが、どれだけ精神的なストレスやダメージを及ぼすかは想像に難くないでしょう。

地域の支援サービスの一環として児童養護施設の存在は非常にありがたいものですが、長期入所をせざるを得ない子どもが全国に3万人近くいることは、親として認識しておくべきことだと思います。

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