低出生体重児が産まれる原因は?後遺症や障害リスクと成長の差

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低出生体重児は増加している

厚生労働省の「平成22年度乳幼児身体発育調査」によると、出生時の赤ちゃんの平均体重は以下の通りです。

男子の出生時の体重|2.98kg
女子の出生時の体重|2.91kg

月齢別赤ちゃん・子どもの平均体重と平均身長の一覧

赤ちゃんの平均出生体重は年々減少傾向があり、2,500g未満の軽い体重で産まれてくる赤ちゃんが増加しています。このような赤ちゃんを「低出生体重児(低体重児)」と言います。

低出生体重児とは、単に出産時の体重が軽い赤ちゃんの総称で、出生体重が2,500g未満を「低出生体重児」、1,500g未満を「極低出生体重児」、1,000g未満を「超低出生体重児」と分類します。

未熟児に定義はある?低体重児や早産児との違いは?

低出生体重児の定義には、早産、正期産、過期産は関係ありませんし、身体機能が未発達な未熟児かどうかも関係ありません。

ただし、赤ちゃんが早産であれば体重が軽く、体重が軽ければ身体機能が未熟なまま産まれてくる可能性も高くなります。そのため、やはりママはお腹の中で胎児が順調に育っているかどうかが気になるものです。

では、なぜ赤ちゃんは低出生体重児で産まれてくることがあるのでしょうか。

今回は、低出生体重児が産まれる原因と後遺症や障害リスクの可能性についてお話したいと思います。

妊娠週数ごとの平均的な胎児体重は以下を参考にしてください。

胎児発育曲線とは?妊娠週数毎の推定胎児体重と推移グラフ

低出生体重児が産まれる原因

低出生体重児が産まれる原因には、様々なものが考えられます。

原因1.胎盤異常など母体の病気で早産

低出生体重児は、早産(妊娠22週0日から36週6日まで)で産まれた場合に多く見られ、妊娠週数が早いほど赤ちゃんの出生体重が軽くなる傾向があります。

早産原因の母体の病気は様々ですが、「妊娠高血圧症候群」「常位胎盤早期剥離」「子宮筋腫・子宮奇形」「子宮頸管無力症」「子宮頸管炎・絨毛膜羊膜炎などの感染症」「糖尿病・妊娠糖尿病」などがあり、結果として赤ちゃんが低出生体重児になる可能性があります。

原因2.臍帯異常など胎児トラブルで早産

「臍帯巻絡」や「臍帯過捻転」などのへその緒の異常がある場合や「羊水過多症」「前置胎盤」「低位胎盤」などは、胎児が発育不全を起こす可能性があります。

臍帯(へその緒)異常の発見方法はある?胎児の死亡確率と注意点

また、その他病気によって胎児の発育阻害がある場合、または何らかの原因で胎児の生命が危険だと判断された場合は、胎児が低体重であっても早期に分娩しなければいけない場合があります。

原因3.多胎妊娠

双子、三つ子など2人以上の赤ちゃん妊娠することは喜ばしいことですが、多胎妊娠はリスクがある妊娠のため異常妊娠に分類されます。

多胎妊娠によって胎児が胎盤からの栄養供給が十分にできない可能性や、胎児が子宮内で十分に発育するスペースが取れないことが、低出生体重児を出産する原因になります。

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原因4.前期破水

本陣痛発来の前に破水(卵膜が破れて羊水が流れ出ること)してしまうことを「前期破水(PROM)」と言います。

前期破水が起こると子宮口が早く開大する恐れがあり、出産の前倒しを余儀なくされます。早い段階での出産を行う場合は、低出生体重児を出産する原因になります。

もし、正産期(妊娠37週0日-41週6日)に起きた前期破水であれば、陣痛促進剤を使って子宮収縮を促し、自然分娩ができる状態を整えますが、陣痛が来ない場合は、緊急帝王切開などの処置が行われる可能性もあります。

原因5.妊娠中の喫煙

妊婦が喫煙をすると母体の血管が収縮することで、胎盤を通じて十分な血液が送られなくなるため、胎児発育不全になる場合があります。

また、喫煙で発生する一酸化炭素は、血液中のヘモグロビンと結びついて酸素を奪うため、胎児が低酸素状態になり、身体の発育だけでなく脳機能の発育にも影響を及ぼします。

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原因6.妊娠中の飲酒

妊娠中の飲酒も喫煙と同様、母体の血管が収縮してしまうため、胎児が胎盤を通じて十分な酸素や栄養を得られなくなります。

また、胎児はアルコールによって胎児性アルコール症候群(FAS)を発症する恐れがあり、成長障害、中枢神経障害、知的障害、胎児奇形などを伴って産まれる可能性があります。

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原因7.食事制限や摂食障害

一般的な体型の女性の場合、妊娠前から出産直前までに7-10kg程度体重が増えます。ところが、妊娠中もなるべく太りたくないという思いから、食事制限や運動による過度な減量をする妊婦もいるようです。

また、重度のつわりのために、体重が5%以上減少するなどの摂食障害を起こす妊婦もいます。特に、日常的に起こる吐きつわり、においに敏感になるにおいつわりが長く続く場合は、治療・入院が必要になる場合もあります。

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このように何らかの原因で妊婦の体重が増えない・増やせない場合は胎児も小さくなりますし、母体の栄養素が不足しすぎると胎児にも十分な栄養が供給されなくなる可能性があります。

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原因8.歯周病

妊婦が虫歯などの歯周病にかかると、早産の可能性、低出生体重児が産まれる可能性が高くなります。

歯周病によって歯周病菌が増えると免疫機能が働きます。免疫機能は「サイトカイン」という物質を作り出して歯周の炎症を抑えようとするのですが、サイトカインが子宮に到達すると、子宮を刺激して子宮収縮を促してしまいます。

歯周の健康状態が悪い妊婦は、低出生体重児が生まれる確率が通常の5倍ほどあるそうです。

参考|歯周病と早産(低体重児出産) – 歯周病から守る予防歯科

低出生体重児の特徴とリスク

では、もし低出生体重児が産まれた場合、その赤ちゃんにはどのような特徴やリスクなどの影響があるのでしょうか。

リスク1.免疫力が弱い

母体から胎児に抗体(免疫グロブリンG|IgG)が渡されるのは妊娠後期に入ってからです。そのため、早産で産まれた低出生体重児は、病気に対する十分な免疫力が備わっていない可能性があります。

赤ちゃんに免疫力が備わっておらず、まだ体力も充分でなく、臓器などの機能が発達していない段階で病気になると重症化する可能性があります。

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リスク2.合併症を起こしやすい

前述した通り赤ちゃんの免疫力が充分でなく、臓器など身体の機能が発達していない段階で病気になることで、合併症を起こしやすくなります。

合併症には、呼吸器系疾患、循環器系疾患、中枢神経系疾患、血液疾患など様々な症状があります。また、低出生体重児は、体温調節機能も未熟な場合が多く、外部環境によって低体温や高体温の影響を受けてしまいます。

早産の低出生体重が原因で起こり得る赤ちゃんの病気や症状

リスク3.哺乳力が弱い

低出生体重児は哺乳力が弱いことが多く、母乳やミルクを十分に哺乳できないだけでなく、吸啜反射と嚥下反射の統合が不十分な場合があります。

特に妊娠34週未満で産まれた赤ちゃんは、カテーテルを挿入して母乳やミルクを注入したり、点滴で栄養を補うこともあります。

参考|早期産児: 周産期における問題: メルクマニュアル18版 日本語版※リンク切れ

赤ちゃんが母乳を飲む際の吸啜反射と嚥下反射に関しては、以下を参考にしてください。

哺乳反射とは?赤ちゃんが乳首を吸っておっぱいを飲める理由

リスク5.未熟性無呼吸発作を起こしやすい

低出生体重児は呼吸中枢が未熟なため、未熟性無呼吸発作を起こしやすくなります。

特に、妊娠28週未満で出産した赤ちゃんは、90%以上の確率で未熟性無呼吸発作を発症します。

未熟性無呼吸発作を起こした赤ちゃんには、低濃度の酸素や呼吸を促進する薬剤を投与しつつ、経過観察を行うなどの治療を行います。

赤ちゃんが息してない!周期性呼吸と無呼吸発作症状の違いと対応

低出生体重児とNICU

仮に低出生体重児であっても、正産期に産まれた赤ちゃんであれば身体の機能がほぼ完成している可能性が高くなり、その場合は成長には問題がありません。

一般的な目安として、赤ちゃんの体重が2,000g以上であれば、大きな心配はいらないとされています。

心配なのは、低出生体重児であり、正産期の前に産まれた早産の赤ちゃんで、在胎週数が短いほど身体の機能が未発達な可能性が高まります。

早産の低出生体重児は免疫力が弱く、感染症や合併症を起こしやすいため、NICU(新生児特定集中治療室)やGCU(未熟児室)で身体の機能がある程度成熟するまでは、医療サポートを受けながら成長していきます。

NICU内は閉鎖された空間のため細菌感染の防止に有効で、免疫力が十分でない低出生体重児に適した環境です。また、騒音や過度の照明がないため、安静に過ごせるようになっています。

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低出生体重児の障害や身体の成長

低出生体重児の身体の成長

低出生体重児は、平均体重で産まれた赤ちゃんよりも小さいままで成長していきますが、1-3歳ごろには身長や体重などの成長が追いつき、5-6歳ごろまでには身体の機能の発達も追いつくように成長します。

また、体重が軽い極低出生体重児や超低出生体重児の場合は、身体の発育や機能の発育は一般的な目安よりも遅れる傾向があります。

もちろん、この傾向は出生体重によって変わりますが、一般的には低体重児にかかわらず、早産の赤ちゃんは修正月齢の考え方で成長を見守ることになります。

低出生体重児の障害や後遺症

低出生体重児は、体力や身体機能の遅れがある乳児期に呼吸器系疾患、循環器系疾患、中枢神経系疾患、血液疾患などの病気の可能性があり、学習障害や聴力障害などの発育障害を起こす場合があります。

早産の低出生体重が原因で起こり得る赤ちゃんの病気や症状

特に、妊娠29-32週目ごろまでは脳が発達したり、心臓や肺などの内臓器官が発達する時期であるため、それ以前の赤ちゃんの出生では脳性麻痺などの障害のリスクがあるとされています。

また、妊娠34週目ごろには自力呼吸が可能になったり、吸啜反射と嚥下反射による哺乳能力を備えることで生存機能が揃う時期であるため、それ以前の赤ちゃんの出生は呼吸器障害や哺乳障害などのリスクがあるとされています。

そのため、早産であっても、妊娠28週0日以降の妊娠後期まで(できれば妊娠29週、または妊娠34週を超えるまで)在胎週数を長くすることで、低出生体重児の障害や後遺症の可能性を低くすることにつながります。

もちろん、妊娠34週0日から妊娠36週6日までの後期早産であっても、低出生体重児であれば脳性麻痺や発達の遅れを伴う可能性はわずかにあるため過信はできません。

出生体重や妊娠週数による脳性麻痺に至る確率については、以下を参考にしてください。

未熟児出産の割合は?脳性麻痺など障害・後遺症の可能性は?

低出生体重児の届出と医療制度

低出生体重児を出産した場合、市区町村役所に対して「低出生体重児届出書」という届出をする必要があります。

この届出をすることで、地域の保健センターから低出生体重児に対する健康管理の指導・サポートを受けられるようになります。また、出生体重が2,000g以下の赤ちゃんの場合、「未熟児養育医療制度」を利用することが可能です。

未熟児養育医療制度に申し込むと、指定された医療機関の入院費と治療費の補助を受けられます。

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低出生体重児はある程度の年齢までは、どうしても平均体重で産まれた子に比べて小さく、身体機能が遅れて成長するため、ママは後遺症や発達障害などの心配をすることになるでしょう。

後遺症や発達障害は産まれてすぐにわかる場合とわからない場合があるため、定期的に病院に通い、子どもが健康に育つように、長い目で成長を見守ってあげるしかありません。

そのため、子どもの運動機能の発達や身体の発育を観察し、何かあればすぐに医師に相談できるように心がけましょう。

一般的な運動機能の発達と身長・体重などの身体の発育に関しては、以下を参考にしてください。

寝返り・ハイハイ・つかまり立ちなど運動機能の発達順番と平均時期

月齢別赤ちゃん・子どもの平均体重と平均身長の一覧

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