乳児院とは?乳幼児の利用者数と入所理由の割合は?

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乳児院は赤ちゃんの一時預かり所?

乳児院という施設を聞いたことがあるでしょうか。乳児院とは、保護者がいない乳幼児が生活をするための施設のことです。

「それって児童養護施設とは違うの?」

児童養護施設は聞いたことがあっても、乳児院は意外と知られていません。または、乳児院を忙しいママが使う赤ちゃんの一時預かり所だと思っている人も多いかもしれません。

児童養護施設とは?児童の利用者数と入所理由の割合は?

わたしは以前、とある老人ホームに併設された乳児院に見学&お手伝いに行ったことがあります。

施設によって雰囲気は変わると思いますが、わたしが行った乳児院は小さくはない施設だったので、保育園よりも老人ホームに近く、共同生活の場所という雰囲気でした。

では、乳児院は本来何の理由で、どのように使われている場所なのでしょうか。

今回は、ママに知ってほしい乳児院の詳細、乳児院の利用目的と利用者数についてお話したいと思います。

2017年2月現在の情報です。

乳児院とは

乳児院とは、児童福祉法に基づいて作られた乳幼児のための宿泊施設のことで、何らかの原因で親との生活が短期的・長期的に困難な乳幼児(新生児から1歳、施設によっては6歳ごろ)の養育を目的としています。

乳児院では、保育士や児童指導員、看護師資格を持つ職員が中心になり、管理栄養士、医師、心理療法士などと連携を取ることで、乳幼児の基本的な養育機能に加え、被虐待児・病児・障害児などに対応できる専門的な養育機能も持っています。

全国乳児福祉協議会によると、平成28年10月1日現在、全国には130以上の乳児院があり、児童養護施設、保育園、老人福祉施設、母子生活支援センター、病院などと併設される他、単独で事業を行っている施設もあります。

参考|乳児院リスト

また、2014年10月1日の厚生労働省の調査によると、全国には132の乳児院があり、3,828人の定員の内3,105人の乳幼児が入所しています。

平成26年社会福祉施設等調査の概況 統計表 第1表 総括表|厚生労働省

乳児院の入所理由

平成25年2月の厚生労働省「児童養護施設入所児童等調査結果」によると、乳児院に入所している子ども3,147人の入所理由とその割合は以下の通りです。

参考|児童養護施設入所児童等調査結果

父の死亡|2人(0.06%)
母の死亡|24人(0.76%)
父の行方不明|4人(0.13%)
母の行方不明|79人(2.51%)
父母の離婚|56人(1.78%)
両親の未婚|195人(6.20%)
父母の不和|41人(1.30%)
父の拘禁|18人(0.57%)
母の拘禁|121人(3.84%)
父の入院|7人(0.22%)
母の入院|96人(3.05%)
家族の疾病の付添|11人(0.35%)
次子出産|19人(0.60%)
父の就労|11人(0.35%)
母の就労|123人(3.91%)
父の精神疾患等|13人(0.41%)
母の精神疾患等|686人(21.80%)
父の放任・怠だ|9人(0.29%)
母の放任・怠だ|340人(10.80%)
父の虐待・酷使|82人(2.61%)
母の虐待・酷使|186人(5.91%)
棄児|18人(0.57%)
養育拒否|217人(6.90%)
破産等の経済的理由|146人(4.64%)
児童の問題による監護困難|19人(0.60%)
その他|547人(17.38%)
特になし|-人(0.00%)
不詳|77人(2.45%)

入所の理由で割合が大きいものは、「父または母の精神疾患等」22.2%、「父または母の放任・怠だ」11.1%、「父または母の虐待・酷使」8.5%、「養育拒否」6.9%となっています。

ただし、ここでの入所理由は主なものであり、当然2つ、3つの要素が重複している場合もあります。中でも、経済的理由や精神的理由によって副次的に虐待を受けている子も少なくはないようです。

被害者の子どもの年齢・加害者の割合は?児童虐待相談件数と推移

一時預かりの理由で割合が大きいものは、「父または母の就労」4.4%、「父または母の入院」3.3%と推測されます。また、冠婚葬祭、出張などは「その他」17.38%に含まれるのではないかと思います。

虐待やネグレクトはとてもひどいことなのですが、「父母の離婚」「両親の未婚」「父母の不和」が乳児院の入所理由というのも相当ひどいですね……。

乳児院の在所期間

厚生労働省の調査によると、乳児院の在所期間は半数が短期(一時預かり)で、1か月未満が26%、6か月未満を含めると48%となっています。

参考|社会的養護の課題と将来像|厚生労働省

一時預かりには、上記乳児院の入所理由の「父または母の就労」「父または母の入院」「その他」に加えて、育児疲れや育児療養を含む「父または母の精神疾患等」が考えられます。

乳児院における一時預かりは、地方自治体主導の支援サービスです。詳しくは以下を参考にしてください。

子どもショートステイとは?利用条件・料金・申込方法など

夜間保育(トワイライトステイ)とは?利用条件・料金・申込方法など

乳児院の退所

乳児院は0歳児の利用者が50%、1歳児の利用者が30%程となっており、乳幼児はそれぞれ乳児院を退所していきます。

退所時は実の両親や親族などの保護者に引き取られたり、特別養子縁組等で里親に引き取られるのですが、乳児院の年齢制限に達すると児童養護施設に措置変更することになります。

現在児童養護施設にいる子どもは約30,000人で、その中の約5,400人(18%)が乳児院から児童養護施設に措置変更した子どもたちです。

参考|児童養護施設入所児童等調査結果

SpotlightというWEBメディアでの、二葉乳児院(新宿区)の施設長インタビューを引用すると、東京では乳児院の乳幼児の58%が両親や親族に引き取られ、25%が児童養護施設に措置変更するとのことです。

都留:東京都のみの話でいうと、58%くらいの子たちが家庭に帰っていき、25%が児童養護施設、15%が里親さんのところで生活するようになります。ただし、残念ながら家庭に帰っていく子の割合は減少傾向で、児童養護施設に措置変更される子が増えつつありますね。

引用|保育園とはどう違う?赤ちゃんだけじゃなくママをも救う「乳児院」を見学してきた – Spotlight (スポットライト)※リンク切れ

乳児院の入所に関して

では実際に、何らかの理由で乳児院を長期的に利用する場合に知っておくべきことを押さえておきましょう。

参考|「子どもの貧困」サポート情報提供ホームページ

乳児院の入所方法

もし何らかの理由で保護者側の悩みや問題により、乳幼児を乳児院に預けたい場合は、地域にある児童相談所で相談をすることになります。

児童相談には相談理由によって様々な対処法がありますが、相談の結果保護の必要があると判断された場合のみ、乳幼児を一時保護を含めた保護措置※として乳児院に預けることになります。

もちろん、乳幼児を長期的に乳児院に預けることは簡単なことではありません。

児童相談所では、乳児の一時保護対応ができない場合が多いため、児童相談所から乳児院に対して一時保護委託がされています。

乳児院の利用料金

乳児院の入所による利用料金は、国と地方自治体の公費によって賄われています。ただし、世帯収入に応じて地方自治体から負担額が発生する場合もあります。

また、保護措置とは異なり、子どもショートステイやトワイライトステイなどで短期的に乳児院を利用した場合は、その分の料金が発生します。料金は地方自治体によって異なるため、市区町村役所の窓口に問い合わせてください。

子どもショートステイとは?利用条件・料金・申込方法など

夜間保育(トワイライトステイ)とは?利用条件・料金・申込方法など

乳児院の保護者支援

乳児院では、乳幼児を預かるだけではなく、乳児院に預けざるを得ない保護者のケアにも取り組んでいます。

たとえば、保護者を対象にしたカウンセリングや育児方法の指導の他に、前述した二葉乳児院のように、赤ちゃんが家庭に帰ってからの生活をシミュレーションできる親子ルームを設けている施設もあります。

乳児院退所後のアフターケア

乳児院では、乳児が退所した後のアフターケアも行なっています。

たとえば、両親や親族に引き取られた子どもの家を尋ねて、保護者の聞き取り調査やカウンセリングを行なったり、児童養護施設に措置変更した子を尋ねて、施設や子どもからの聞き取り調査、子どもへのカウンセリングを行ないます。

乳児院という受け皿は素晴らしいが

乳児院を使う理由は様々です。

自分の子を愛せない親、愛する心の余裕がない親がいることは事実なので、どうしてもネグレクトや虐待、経済的理由などのネガティブな理由で、乳児院がクローズアップされることが多くなります

そのため、乳児院は自分には関係がなく、イメージしにくいと考えるママも多いのではないでしょうか。

反対に、子育ての相談にのってもらったり、地域の子育て支援サービスの一環として一時預かりをお願いするなど、乳児院に助けられたママも少なくないでしょう。

もしかしたら、乳児院に助けられなければ、その後ネガティブな理由で利用をすることになった人もいるかもしれません。

そのため、たとえ自分が乳児院とは関係がないと思っても、乳児院の存在やどのように活用されているかを知っておくべきだと思います。

そして、もし今後身近に子育てで悩んでいる人がいるなら、ネガティブな理由が大きくなる前に、気軽に児童相談を行うように勧めてあげてください。乳児院の短期利用の存在は、相談員から聞くことになると思います。

わたしたちが乳児院の存在を理解することで、ネガティブな理由での乳児院の利用が少なくなり、本当の両親と暮らしていける赤ちゃんが増えるかもしれません。

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