妊娠糖尿病の原因、発症率、診断基準は?糖尿病との違いは?

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妊婦の10人に1人が妊娠糖尿病?

妊娠糖尿病(GDM)という病気を知っていますか?

「糖尿病って成人病のことでしょ?わたしはダイエットしてるし大丈夫でしょ。」

たしかに、妊娠糖尿病は、名前の通り妊娠中に起こる”糖尿病に似た症状”なので、自分とは関係がないと思っている人は多いかもしれません。

ただ、妊娠糖尿病と糖尿病は別物です。なぜなら、妊娠糖尿病は20代でも、痩せていても、妊婦であればかかる可能性がある病気だからです。

では、糖尿病と妊娠糖尿病はどのような違いがあるのでしょうか。また、妊娠糖尿病の症状や発症の原因とは何でしょうか。

今回は、糖尿病と妊娠糖尿病の違い、妊娠糖尿病の原因、発症率、診断基準などについてお話したいと思います。

糖尿病とは

妊娠糖尿病の前に、糖尿病の仕組みを簡単に押さえましょう。糖尿病は、膵臓(すいぞう)から分泌される血糖値を下げる「インスリン」が何らかの原因で減少するため、身体が高血糖状態になり合併症を起こす病気のことです。

糖尿病の高血糖状態

糖尿病の流れ
食事をするとブドウ糖が作られる

ブドウ糖は血管を流れて細胞に運ばれる

血液中の糖の値(血糖値)が上がる

血糖値が上がると膵臓からインスリンが分泌される

インスリンはブドウ糖を細胞に渡したり、過剰なブドウ糖を破壊する

ところが糖尿病は膵臓の働きが悪く、インスリン分泌されない……

血糖値がずっと高いままになる

高血糖状態で生活を続けると、血管がもろくなったり、血管に詰まりを起こす血管病になります。さらに、全身の臓器に適正な栄養供給ができなくなるため、身体の各所でさまざまな合併症を起こします。

血管の破壊や血管のつまりが身体のあちこちで起こる……これを聞くと糖尿病が怖い理由がわかりますね。

妊娠糖尿病とは

妊娠糖尿病とは、妊娠中に起こる糖代謝異常のことで、一般的な糖尿病とは異なります。そのため、妊娠前から糖尿病を患っている場合、妊娠中に糖尿病と診断された場合は、妊娠糖尿病とは言いません。

日本糖尿病・妊娠学会によると、妊娠糖尿病は「妊娠中に初めて発見、または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常」と定義付けられているため、妊娠糖尿病よりも糖尿病の方が重い病気だとわかります。

とは言え、妊娠中の妊婦が糖代謝が行えない状態は疲労が溜まりやすく、高血圧症も発症しやすいうえに、胎児の発育に影響したり、合併症の原因にもなるため注意すべき病気には違いありません。

妊娠糖尿病で糖代謝異常が起こることは糖尿病と同じなのですが、糖尿病とは原因が異なります。

一般的な糖尿病と妊娠糖尿病はどのような原因で病気になるのでしょうか。

妊娠糖尿病と糖尿病の原因

一般的な糖尿病の原因

一般的な糖尿病の原因は主に3つあり、3種類の糖尿病に分けられます。

糖尿病の種類
1.1型糖尿病
2.2型糖尿病
3.その他の糖尿病

「1型糖尿病」は、過去のウイルス感染によって増えたリンパ球が膵臓の機能を阻害して、インスリン分泌が減少する糖尿病です。1型糖尿病は、子供に起こることが多いため小児糖尿病とも呼ばれます。

「2型糖尿病」は、2つの原因があります。1つは肥満や運動不足などの生活習慣の乱れで膵臓の働きが弱くなりインスリン分泌が低下するため、もう1つは身体がインスリンの働きに鈍感になり、インスリンが効きにくくなるため起こります。

「その他の糖尿病」は、遺伝子異常や他の病気、薬剤などによって起こります。

妊娠糖尿病の原因

妊娠糖尿病の原因は、胎盤から分泌される女性ホルモン(インスリン抵抗性ホルモン)が、インスリンの働きを抑えることで起こります。

胎盤からインスリン抵抗性ホルモンが分泌される理由は、インスリンによる糖の破壊を阻止して、胎児により多くの栄養(ブドウ糖)を供給するためです。

ところが現代の妊婦は、昔の妊婦に比べて十分な栄養を摂取でき、むしろ栄養過多になることも増えました。そのため、インスリンの働きを抑えなくても、胎児に供給するブドウ糖は十分に足りています。

つまり、インスリン抵抗性ホルモンの働きは、現代の妊娠事情では過剰な働きだということです。

妊娠中の糖代謝異常の診断基準

妊娠糖尿病は妊婦に自覚症状が薄く、妊娠後期になるほど高血糖が進行し、さまざまな症状が現れることで実感します。

以下参考|妊娠中の糖代謝異常と診断基準の統一化について|日本糖尿病・妊娠学会

妊娠糖尿病の診断基準

妊娠糖尿病の診断基準は、75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)において、次の基準を1つ以上を満たした場合です。

1.空腹時血糖値 ≧92mg/dl(5.1mmol/l)
2.1時間値 ≧180mg/dl((10.0mmol/l)
3.2時間値 ≧153mg/dl(8.5mmol/l)

つまり、空腹時の血糖値が92mg/dl以上、経口ブドウ糖負荷試験の1時間後の血糖値が180mg/dl以上、2時間後の血糖値が153mg/dlの1点以上を満たした場合に、妊娠糖尿病と診断されます。

妊娠中の明らかな糖尿病の診断基準

妊娠中の明らかな糖尿病の診断基準は、以下のいずれかを満たした場合です。

1.空腹時血糖値 ≧126 mg/dl
2.HbA1c(ヘモグロビンA1c)値 ≧6.5%

ヘモグロビンA1c値とは、赤血球中のヘモグロビンがどれくらいの割合で糖と結合しているかを示す値のことです。

糖尿病合併妊娠の診断基準

糖尿病合併妊娠の診断基準は、以下のいずれかを満たした場合です。

1.妊娠前に糖尿病と診断されている場合
2.確実な糖尿病網膜症がある場合

ただし、これらの糖代謝異常の診断は、妊娠後期に多く分泌されるインスリン抵抗性ホルモンの影響など時期によって高い値を示すことがあるため、非妊娠時の糖尿病診断基準をそのまま当てはめずに、複数の要素から考えなければいけません。

妊娠糖尿病の発症率と影響

日本糖尿病・妊娠学会によると、妊娠糖尿病を発症する妊婦の割合は12%ほどと発表されています。

これまでの診断基準では、わが国の妊娠糖尿病の頻度は2.92%でしたが、2010年7月に大規模な診断基準の変更があったため、妊娠糖尿病の頻度は12.08%と4.1倍に増えることがわかりました。
ただし、この数字は全員に75gぶどう糖負荷試験を行った場合の数字ですので、スクリーニング陽性者のみぶどう糖負荷試験をしたときは、これより若干少なく7〜9%の頻度になります。

引用|Q1. 妊娠糖尿病とは? | 糖尿病と妊娠に関するQ&A | 一般社団法人 日本糖尿病・妊娠学会

ちなみに、コロラド大学健康科学センターが2002年に行った研究によると妊娠糖尿病(GDM)の有病率は4.1%で、中でもアジア人は6.3-8.6%と高い割合が出ています。そして、妊娠糖尿病の発症率は年々高まっているそうです。

参考|Increasing Prevalence of Gestational Diabetes Mellitus (GDM) Over Time and by Birth Cohort | Diabetes Care

妊娠糖尿病で最も怖い影響は、高血糖によって妊婦に妊娠高血圧症候群などの合併症が起こることです。そして、出産後に2型糖尿病に移行してしまうことです。

妊娠中に起こった妊娠高血圧症候群などの合併症は、胎児の発育に重大な影響を与えたり、出産後の赤ちゃんに後遺症を残す可能性もあります。

さらに、妊婦が重度の妊娠糖尿病に至った場合、赤ちゃんにも糖尿病が遺伝してしまう可能性があります。妊娠糖尿病による影響の詳細は以下を参考にしてください。

妊娠糖尿病で妊婦や胎児への影響は?治療法や予防について

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