アプガースコアとは?新生児仮死から脳性麻痺など後遺症に至る割合

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アプガースコアは後遺症に関係ある?

今子育て中のママであれば、母子健康手帳に「アプガースコア」という欄を見たことがあると思います。そこには、9点、7点、5点などの数字が書いてあることもあれば、何も記載されていない場合もあります。

アプガースコア(アプガー指数)とは、赤ちゃんの出産直後の状態をチェックして、10点満点で健康状態を表す指標のことです。

アプガースコアを調べてみると、「新生児仮死」や「後遺症」の話しが関連して書かれていることが多く、まだ小さい赤ちゃんを育てているママとして、穏やかではないとても気になる指標です。

では、アプガースコアとは一体どのようなものなのでしょうか。また、アプガースコアと新生児仮死や後遺症との関連性とは何でしょうか。

今回は、新生児の健康状態を表すアプガースコアと、新生児仮死から脳性麻痺などの後遺症に至る割合について考えてみたいと思います。

アプガースコア(アプガー指数)とは

アプガースコアとは、出産直後の新生児の健康状態を「心拍数」「呼吸」「筋緊張」「刺激に対する反射」「皮膚色」の5項目で採点し、10点満点で新生児仮死の状態や後遺症のリスクを予測するための指標です。

アプガースコアの計測は、新生児の異常の有無関係なく実施されるものですが、出産現場において新生児仮死などの処置判断に使う指標のため、必ずしも母子手帳にアプガースコアが記載されるわけではありません。

1952年にアメリカの麻酔科・小児科医ヴァージニア・アプガーが導入し、日本の出産現場では1960年ごろから使われ始めました。

出産現場においてアプガースコアが使われだしてからすでに60年ほど経過しますが、今でも出産直後の新生児の健康状態を把握するために、ある程度適切な判断指標だと評価されています。

ただし、アプガースコアは医師による主観的な評価であり、アプガースコアだけで新生児仮死の赤ちゃんに対する治療や対処法が決まるわけではありませんし、その後の健康状態が決まるわけでもありません。

新生児仮死のアプガースコアによる状態判断

アプガースコアは以下の項目を生後1分後と5分後に判定し、各10点満点で新生児の健康状態を判断します。アプガースコアが低いほど、重症の新生児仮死と判定されます。

アプガースコア項目1.皮膚色(Appearance)

0点|全身蒼白、チアノーゼ
1点|体幹がピンクで手足先がチアノーゼ
2点|全身ピンク

アプガースコア項目2.心拍数(Pulse)

0点|なし(60未満)
1点|100以下
2点|100以上

アプガースコア項目3.刺激の反射(Grimace)

0点|反応しない
1点|顔をしかめる
2点|泣く

アプガースコア項目4.筋緊張(Activity)

0点|だらりと弛緩している
1点|手足をやや動かす
2点|手足を活発に動かす

アプガースコア項目5.呼吸数(Respiration)

0点|呼吸なし
1点|弱い、不定期
2点|強く呼吸している

アプガースコアの判定

0-3点|重症仮死(第2度新生児仮死)
4-6点|軽症仮死(第1度新生児仮死)
7-10点|正常

アプガースコアの判定は、各5項目で該当する点数を付けて合計点を出します。

0-3点が重症仮死(第2度新生児仮死)、4-6点が軽症仮死(第1度新生児仮死)、7-10点が正常と判断されますが、多くはアプガースコアの1分値よりも、5分値の方が改善した結果が見られます。

アプガースコアによる新生児仮死の処置

生後5分後のアプガースコアを基準にした新生児仮死の処置は以下のものがあります。ただし、必ずしも新生児仮死の状態によって一律な治療・処置が行われるわけではありません。

重症仮死(第2度新生児仮死)の処置

・ラジアントウォーマーなどでの保温
・気道内の吸引による気道確保
・皮膚刺激などによる自発呼吸の誘発行為
・バッグバルブマスクを使った用手換気(呼吸の補助)

軽症仮死(第1度新生児仮死)の処置

・喉頭鏡を用いて直視下に気道吸引する
・さらに気管内挿管による酸素投与
・代謝性アシドーシスの治療

新生児仮死蘇生後の管理

主に重度の仮死蘇生から新生児の状態が安定した場合、NICUに収容し保育器に入れて管理を行なっていくことになります。

NICU(新生児集中治療室)の役割と赤ちゃんの入院基準・費用

新生児仮死から脳性麻痺になる割合

もし、赤ちゃんが新生児仮死状態で産まれた場合、予後に脳性麻痺を患う確率は上がりますが、それぞれの調査機関や現場、研究者によって数値はバラけています。

脳性麻痺の割合1.科学術振興機構の見解

科学術振興機構によると、アプガースコア関係なく乳幼児が脳性麻痺を発症する割合は1000件の出産のうち2.5人(0.25%)であり、正期産児に限定すると1000件中1人(0.1%)となっています。

さらに、早産児に限定すると1000件中22人(2.2%)が脳性麻痺を発症し、妊娠22-27週で生まれた早産児の脳性麻痺発症率は1000件中146人(14.6%)に上昇します。

参考|脳性麻痺 : 疾患情報 | iPS Trend

脳性麻痺の割合2.新生児仮死発生要因の調査

また、以前お伝えした平成4年度厚生省心身障害研究の「新生児仮死発生要因の調査」によると、正期産の分娩9750件のうち新生児仮死は70件で発生率0.7%程度であり、この新生児仮死から後遺症が残った事例は2件のため、正期産で後遺症が残る確率は全出産の0.02%程度となっています。

「新生児仮死発生要因の調査」でいう発症率0.7%の新生児仮死とは、アプガースコアの1分値が4点以下で5分値が6点以下と定義されています。

新生児仮死の原因と治療法は?脳性麻痺など後遺症の確率

上記例から考えると、生産期に生まれた赤ちゃんが新生児仮死(1分値が4点以下で5分値が6点以下)の場合、脳性麻痺に至る確率は70件中2件のため、確率としては2.9%ほどです。ただし、新生児仮死の赤ちゃんの脳性麻痺の発症割合を2.9%とするには、サンプル数が少ない気もします。

脳性麻痺の割合3.Kari Kveim Lie氏の研究報告

ノルウェー公衆衛生研究所のKari Kveim Lie氏のアプガースコアと脳性麻痺の関連性をBMJ誌2010年10月16日号で、以下のように研究報告しています。

全体では、アプガースコアが3未満群での発症が11%(39/369例)、一方、スコア10群の発症はわずか0.1%(162/17万9,515)で、両群間の発症差は53倍(出生時体重補正後オッズ比:53、95%信頼区間35~80)だった。

出生時体重が2,500g以上では、アプガースコア4未満の群が、8超群に比べオッズ比125(95%信頼区間:91~170)と、より多く発症する傾向が認められた。

一方、出生時体重が1,500g未満では、両スコア間のオッズ比は5(95%信頼区間:2~9)でほぼ同一だった。

各体重群(1,500g未満、1,500~2,499g、2,500g以上)ともスコア4未満児が脳性麻痺を発症した割合が最も高く、10~17%を占めていた。アプガースコア低値は、痙性脳性麻痺の3つのサブグループそれぞれと強く関連していた。特に、四肢麻痺で関連が最も強く、補正後アプガースコア4未満対8超のオッズ比は137(95%信頼区間77~244)だった。

引用|アプガースコアは脳性麻痺発症の堅密な指数である|医師・医療従事者向け医学情報・医療ニュースならケアネット

つまり、早産児ほど新生児仮死の確率は上がり、新生児仮死で産まれた赤ちゃんほど脳性麻痺の確率も上がるということになります。

アプガースコアの点数をどう受け止めれば良いか

ママは赤ちゃんがある程度大きくなるまでは、ちょっとした体調変化でも心配になります。また、身体機能の発達の遅れや知覚反応の遅れにも敏感で、常に何らかの障害や後遺症が常に気になります。

そんなとき、母子手帳にアプガースコア5点など記載されているのを見ると、「どこかに障害があったのかも……?」と不安は大きくなります。

たしかに、生後すぐの赤ちゃんは血色が悪い場合があり、呼吸も安定していません。1分値のスコアが低い場合は、5分値で回復したとしても正常値に至らない場合があります。

それでも、前述した通り脳性麻痺を発症する確率は高いものではなく、アプガースコアが正常値に至らないことで必ずしも脳性麻痺を発症するわけではありません。

そのため、もし心配であれば医師に出産時の状況と赤ちゃんの今後の見守り方を聞いて、そのうえで定期的に医師の指導を受けるようにしてください。

アプガースコアは、あくまでも出生時点の評価のため、先のことはわかりません。まずは赤ちゃんとしっかりコミュニケーションを取りながら、親子の愛情を深めるようにしましょう。


参考|未熟児について アプガースコア 重症仮死
参考|アプガー指数 – Wikipedia

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